中堅社員の後輩指導実態とモチベーションの関係
近年、企業内の後輩指導の重要性が増しており、中堅社員の役割がますます注目されています。特に、社会人5年目以上の中堅社員(ミドルキャリア)における後輩指導の意識や実態は、組織の成長に寄与する要素の一つとされています。本記事では、ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所によって行われた調査結果を元に、中堅社員の後輩指導に関する実態を詳しく掘り下げ、モチベーションの高さやその傾向について考察します。
調査概要
この調査は2024年12月に、役職がまだついていない社会人5年目以上の中堅社員800人を対象に実施されました。調査結果から見えてきたのは、実際に後輩指導を行っている中堅社員がわずか35.5%であること。また、指導に対するモチベーションが高いと感じているのは、約4割にとどまるという結果が出ています。つまり、大多数の中堅社員が後輩指導を行う意欲に欠けているのが現状です。
後輩指導の苦労
調査結果によると、後輩指導において中堅社員が最も苦労しているポイントは「後輩の力量に応じた業務を与えること」で、33.1%がこの項目を挙げています。また、後輩とのコミュニケーションや成果につながるサポートも大きな課題となっています。これは、中堅社員が後輩を理解し、適切に業務をアサインするための発展的なコミュニケーションが求められることを示唆しています。
モチベーションと苦労の関係
モチベーションの高い中堅社員は「育成のゴール設定」や「後輩との良好なコミュニケーション」に重点を置き、高い意識で指導に臨んでいる傾向があります。一方で、モチベーションの低い中堅社員は「改善点を次に活かしてもらうこと」に苦労していることが分かりました。これは、後輩の行動変容に難しさを感じていることを示しており、モチベーションの高さが指導実務にどのように影響するのかを考慮する必要があります。
組織的なアプローチの重要性
多くの企業で新年度の育成計画が立てられる時期に入る中、育成計画は対象者だけでなく、指導者側の教育やサポートも重要です。特に、OJT担当や先輩社員のスキル向上についても、育成計画を策定する際に考慮すべきです。これにより、組織全体での「面の育成」が実現し、後輩育成の質が向上するのではないでしょうか。
育成サポートのポイント
- - 教えるスキルの獲得: 説明力やフィードバック力など、教えるためのスキルをトレーニングする必要があります。
- - 育成業務の意義の理解: 後輩の育成が部門や組織にどのような影響を与えるかを理解し、意義を強調することが大切です。
- - 育成担当者同士の連携: 定期的に育成担当者同士が悩みを共有し合う場を設け、支え合う関係を構築しましょう。
まとめ
調査によって中堅社員の後輩指導に対する現状が見えてきました。約35.5%のミドルキャリアが指導に従事しており、モチベーションにおいても4割は前向きに取り組んでいることが分かりました。しかし、指導に伴う苦労も多く、それに対する組織全体でのサポートが重要であると示唆されています。今後は、育成対象者だけでなく、指導者となるミドルキャリアへの教育支援も視野に入れた施策が必要です。これが、組織全体の成長に繋がるでしょう。