福祉職員とアーティストによる共創が生む新たな価値とは

TURN LANDプログラム：福祉とアートの新たな共創

はじめに

東京都が主催する「TURN LANDプログラム」は、福祉施設を舞台に、福祉職員とアーティストがコラボレーションし、アートの力を通じて多様性を促進する取り組みです。このプログラムは、2015年に始まった「TURN」事業の後継として、アーツカウンシル東京が関与した文化的なプロジェクトです。

プログラムの背景と展開

「TURN LANDプログラム」は、およそ10年間の試行錯誤を経て、福祉職員とアーティストが共に協働する形で進化しました。アーティストが福祉施設に訪れ、利用者との対話を通じて共創型のアートプロジェクトを展開します。利用者たちの力を借りながら、多忙な福祉現場と表現者が深く交わり、多彩なクリエイティブな時間を生み出してきたのです。

今年度も都内で7件のプロジェクトが進行中であり、様々なアーティストとともに特有のインクルーシブなプログラムが展開されています。これによって、地域に根ざした文化の重要性と、福祉現場の魅力が改めて浮き彫りになっています。

アートと福祉の交流

本プログラムでは、参加者が観客としてではなく、「プロジェクトメンバー」として協働します。アーティストと新たな出会いを果たし、ともに思考や対話を重ねることで、アートの体験を深めます。これにより、福祉職員や利用者、アーティストの意識にも変化が促され、自身の成長を実感する意識改革の道へとつながるのです。

特に、普段アートや文化を親しむ機会が少ない人々が、アーティストと協働して新たな関係を築くことは、貴重な経験となります。たとえば、2022年度からは39のプロジェクトが展開され、地域の様々な福祉施設が参加しています。このような場が生まれることで、福祉職員は、異動後の環境においても柔軟な思考を基にした支援が行えるようになります。

特徴的なプログラムとその影響

「TURN LANDプログラム」では、参加アーティストがともに交流し、地域の魅力を引き出しながら、創造的なプロジェクトを開発します。ダンサーや音楽家など多様な専門性を持つアーティストが参加し、福祉職員と共にユニークな文化体験を提供します。

こうした経験には、どのように創造性を育むかという問いが含まれています。アーティストたちと共に新たな創造のあり方を模索し、実践を通じて人間関係の深化が図られるのです。