ピアノ付き移動スーパーが届ける小さな幸せの物語

ハートフルな移動スーパーの物語

京都府亀岡市にあるユニークな移動スーパー『とらピ』。この小さなトラックは新鮮な食品やお惣菜、お菓子など、多彩な商品をお届けしてくれます。しかもただの移動スーパーではなく、実はピアノ演奏まで楽しめるのです。ここでは、この移動スーパーを営む夫婦の感動の物語をご紹介します。

「とらピ」の誕生

2020年、桃玄義成さんと妻の真実さんは、移動スーパーを始める決意をしました。当初は、義成さんが生活の中で感じた孤独や辛さがきっかけだったそうです。京都に移住した際、親しい人の死や別れが続き、精神的に落ち込んでいた義成さんの前に現れたのが、プロのピアニストでもある真実さんでした。彼女の音楽と温かい人柄が義成さんを救い、二人は共に歩む道を選びました。

地域の心の支え

亀岡市は高齢化が進む地域であり、約3人に1人が65歳以上という統計があります。このため、最寄りのスーパーまで30分以上歩かなければならない住民にとっては、移動スーパー『とらピ』は大いに役立っています。特に、買い物が困難な高齢者やお年寄りにとって、このサービスは非常にありがたい存在です。常に地域のニーズに寄り添いながら、義成さんと真実さんは日々の営業を行っています。

ピアノの音色が生む癒し

唯一無二の『とらピ』の特徴は、真実さんがトラックの横で演奏するピアノです。毎日の営業の中で、お客さんが集まってくると、心温まる生演奏が始まります。音楽は地域住民のコミュニティを形成し、訪れる人々が笑顔になる瞬間を生み出しています。夫婦の活動は、公園や集会所での出張演奏に広がり、時には自宅までお届けすることもあります。また、介護施設での音楽会も行い、他者とのつながりを深めています。

困難に立ち向かう日々

しかし、夫婦の道は平坦ではありません。真実さんの妊娠により、仕事を一時休むことになった時期がありました。酷暑の中、生演奏のない『とらピ』は客足が遠のき、許可を得ずに営業することもありましたが、夫婦は諦めませんでした。生計を立てるため、義成さんは毎日懸命に働き、真実さんは彼を支える姿勢を貫きました。

地域との協力

幸運なことに、夫婦の努力は徐々に実を結び、地元の中学校から職業体験の講演依頼が舞い込みました。その場で義成さんは、生きやすい日本社会の実現について子どもたちに語り、共感を呼び起こしました。この機会を通じて、彼たちの信念が次世代に伝わっていくことに期待が寄せられました。

地域のお祭りへの参加

『とらピ』は10月下旬に地域のお祭りにも招待され、真実さんの生演奏が披露された際、たくさんの地域の人たちが駆けつけ、歓声を上げました。日常で見せる真実さんの強さの裏にある不安や葛藤も浮かび上がり、夫婦が互いに支え合いながら過ごす姿は、多くの人に感動を与えました。

まとめ

美しい音色が響く『とらピ』は、いつも誰かの幸せを届けています。困難を共に乗り越え、支え合う夫婦の物語は、地域の宝として輝き続けているのです。音楽と愛、そして情熱が詰まったこの物語を、ぜひ一度ご覧ください。番組『ドキュメンタリー7』では、彼らの活動を深く掘り下げる内容が放送されます。ぜひご覧ください。