バイオマス由来樹脂
2025-03-27 14:05:02

住友ベークライト、世界初のバイオマス由来樹脂を商業化し持続可能な未来へ

住友ベークライト、環境に配慮した製品を商業化



住友ベークライト株式会社(東京都品川区)は、非可食性のバイオマス由来原料であるリグニンを利用した「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の商業販売を開始しました。この素晴らしいニュースは、持続可能な社会実現に向けた大きな一歩です。

環境負荷への関心の高まり


近年、プラスチックの環境への影響が広く取り上げられるようになり、さまざまな業界で資源の循環や温室効果ガス(GHG)の削減に対する取り組みが求められています。プラスチックが持つ特性から、リサイクルが難しい場合や長期間使用される用途においては、再生可能なバイオマス由来の原料への転換が重要視されています。そこで住友ベークライトは、リグニンを活用して新しい樹脂の開発に成功しました。

固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂の特性


この新しい樹脂は、フェノール樹脂として知られる材料で、特に高い耐熱性を持っていることが特長です。自動車部品など、厳しい使用条件下でも耐える力を持ちつつ、環境負荷を軽減できるという理想的な製品です。住友ベークライトでは、より環境に優しい製品提供を目指して、リサイクル技術とバイオマス活用を両立させるための研究開発を行なっています。

商業化への道のり


2010年以前から、住友ベークライトはフェノール樹脂へのリグニン利用に関する基礎研究を開始し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業にも参加。これにより、リグニンを活用した樹脂合成技術を開発し、安定した「パルプ製造法由来リグニン」の調達を確保しました。これにより、固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂の量産体制を整えることに成功し、商業化が実現したのです。

この製品の中でも、「スミライトレジンPR-L-0002」と名付けられた樹脂は、既にRCS(レジンコーテッドサンド)メーカーにバインダー樹脂として採用され、2024年初めから一部の自動車鋳造部品の製造に使われています。このように、新しい技術による製品が実際に市場で使用され始めていることは、非常に喜ばしい進展です。

持続可能な社会への貢献


住友ベークライトは今後の展開として、固形ノボラック型フェノール樹脂の商業化が、他のリグニン製品の社会実装につながることを目指しています。特に、自動車部品やさまざまなバインダー用途への展開を計画しており、環境に配慮した技術と製品の開発を継続していく姿勢を示しています。

加えて、新しいバイオマス由来樹脂は、化石資源の使用量を減らすことができるため、環境への負担を軽減する効果が期待できます。具体的には、PR-L-0002はバイオマス率15%を実現し、化石資源使用量を同等品と比較して15%削減可能という評価も受けています。このように、高いバイオマス率を持つ製品の開発が進められていることは、環境保護にとっても大きな意義があります。

まとめ


住友ベークライトの新たなリグニン変性フェノール樹脂の商業化は、業界内外でのプラスチックに対する意識を変えていく可能性を秘めています。この革新的な技術は、持続可能な社会の実現に向けての重要な一歩であり、今後の展開に期待が寄せられています。これからも環境に優しい技術の開発を進め、社会に貢献する企業の姿勢をぜひ注目してほしいと思います。


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