静かな退職の現状
昨今、企業における従業員の満足度が大きな課題となっています。株式会社コーナーが行った調査によれば、約4割の社員が「静かな退職」状態にあると示されています。これは、退職を十分に表明しないものの、仕事に対して消極的な姿勢を示している状態を指します。この調査は、正社員413名を対象に実施され、特に人事部門にいる100名も含まれています。
調査の背景
静かな退職の実態を把握することは、企業にとって重要です。この状態が進行すると組織全体の活力が低下し、業績にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早期の対策が求められます。コーナーの代表である門馬貴裕氏は、社員のモチベーション低下やエンゲージメントの喪失は見えにくいリスクであると警鐘を鳴らしています。
調査結果の概要
1. 静かな退職層の割合
調査結果によると、仕事に対する消極的な姿勢を示す「静かな退職」層は全体の約40%に達しています。このことは、オフィス環境や制度の未整備が大きく影響していると考えられます。
2. 離職を考える理由
"静かな退職"の背後にはさまざまな不満が存在します。特に突出しているのが「給与・評価基準」に対する不満です。年代別に分析すると、20代では日々の業務の快適性、30代・40代は柔軟性の欠如やキャリアの不安、50代は経営陣の意思決定に対する不満が挙げられます。これらの不満点は、組織の強化を図るうえで無視できない要因です。
3. 組織の信頼性に関する要因
また、「静かな退職」の層の中では、「会社の将来性不安」や「パーパス共感不足」など、組織全体への信頼性に関わる選択が多数を占めています。これは、管理職や人事が知っておくべき重要なデータであり、組織の運営やコミュニケーションに影響を及ぼす要因です。
4. ワークスタイルの影響
ワークスタイルによる「静かな退職」層の割合を見ると、リモートワークを行っている社員は52%が該当し、一方でハイブリッド勤務者は最も低い数字を示しました。リモート環境では心理的なコストや不足している対面コミュニケーションが、不満の原因となっていると指摘されています。
企業が取るべき施策
この調査から得られた結果を企業改善に役立てることが不可欠です。待遇面の改善に加え、組織のビジョンや価値観を明確にし、社員との信頼関係を築くことが重要です。特にリモート環境においては、心理的距離を縮める工夫が企業の重要な課題として浮き彫りになっています。
まとめ
『静かな退職』は、離職として明確には表れないものの、企業にとって見えにくいリスクであることを再認識すべきです。企業文化や働きがいに関連する課題の改善を施すことで、社員のモチベーション向上に寄与し、組織の活力を保つことができます。今後は、柔軟な働き方の導入や、社員一人ひとりのニーズに応える体制の構築が急務です。
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