長崎・新上五島町で介護DXの本実証が始動
株式会社MUSVIを中心とする4社のコンソーシアムが、日本医療研究開発機構による「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」に選出され、長崎県新上五島町で新たな介護モデルの実証研究を開始しました。この取り組みは、特別養護老人ホーム「福見の園」と医療機関である上五島病院・奈良尾医療センターを中心に行われ、ICTの活用による通院介助の効率化を目指しています。
背景と目的
日本の多くの離島や過疎地域では、限られた医療資源と高齢化が問題となっています。特に、介護施設での通院介助は職員にとって大きな負担であり、1回の介助にかかる時間は平均で3~4時間に及ぶことがあります。入所者にとっても、通院は身体的な負荷だけでなく、心理的なストレスを伴います。そこで本実証事業では、パラマウントベッド社の見守りセンサーと、芙蓉開発社のAI/ICT健康管理システムを活用し、医療と介護の新しい連携モデルを検証します。
実証フィールドと体制
実施される地域は高齢化率44.6%を誇る長崎県新上五島町。介護施設の「福見の園」には定員40名が収容されており、医療機関として上五島病院と奈良尾医療センターが利用されます。今回の研究は、MUSVIが代表機関となり、パラマウントベッドや芙蓉開発、そしてみずほリサーチとの連携によって進められます。
実証研究の詳細
実証は2025年秋に開始された準備調査を経て、12月4日から本格的に行われます。対象にはオンライン診療や通院介助のケーススタディが含まれ、職員や入所者の満足度に関するアンケートも行われます。これらのデータを通じて、介助の効率化とQOL向上を図る方針です。
目指す未来
単なる効率化に留まらず、介護DXは入所者のQOL向上と職員の働きがいの両立を目指します。将来的には遠隔医療デバイスとの統合やオンライン服薬指導のシステム化を見据え、持続可能な医療・介護連携のモデルを実現していくとしています。
各関係者のコメント
福見の園の理事長、大角洋一氏は「オンライン診療や見守り技術の活用により、ご利用者が安心して医療を受けられる環境を構築することを期待しています」とコメントしました。一方、MUSVIの阪井祐介氏は「現場の課題に耳を傾けながら、医療・介護のDXに貢献していきたい」と語っています。これらの取り組みは実際の介護現場の課題解決に寄与し、今後の医療・介護システムに大きな影響を与えることが期待されます。
結論
長崎・新上五島町でのこの介護DXが示す取り組みは、高齢社会の課題に真正面から向き合い、未来の医療・介護の在り方を体現するモデルとなることでしょう。関係者全体が一丸となって進めるこのプロジェクトから目が離せません。