量子コンピュータ実現の新技術
2025-06-09 14:24:52

量子コンピュータ実現へ向けた新技術、極低温でのマイクロ波信号選択回路の開発

量子コンピュータ実現へ向けた新技術



国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)からの画期的な発表です。先端半導体研究センターの更田裕司上級主任研究員と森貴洋研究チーム長らが、極低温環境で必要なマイクロ波信号を選択的に取り出すことができるシリコンCMOS集積回路の開発に成功しました。この技術は、量子コンピュータの大規模化に向けた重要なステップとして注目されています。

量子コンピュータの未来



量子コンピュータは特定の問題を従来のコンピュータに比べて高速に解決できる可能性を秘めています。実用化には少なくとも100万個以上の量子ビットが必要です。そして、各量子ビットは冷凍機内で絶対零度近くまで冷却され、個々のマイクロ波信号によって制御されています。しかし、量子ビット数の増加は、必然的に必要な配線数の増加をもたらし、そこから生じる温熱問題が冷却性能に悪影響を及ぼす大きな課題でした。

クライオCMOS技術



新たに開発されたクライオCMOSは、室温で生成したマイクロ波信号を1本のケーブルに多重化し、冷凍機内で特定の周波数を選んで取り出すことが可能です。これにより、従来方式に比べてケーブル本数を18分の1に減少でき、冷凍機への導入負荷を大幅に軽減しました。また、冷凍機内のマイクロ波信号生成回路の消費電力も従来の30分の1に抑えられ、エネルギー効率も向上しました。この技術は一般的なCMOS製造プロセスで製造できるため、低コストでの大量生産が可能です。

テスト結果



実際に4ケルビンに冷却した際、信号選択用CMOSの評価を行った結果、期待通りの性能を確認しました。特に、信号によってsupportedしない周波数成分の影響を最小限に抑え、量子ビットの制御精度を確保することができました。このクライオCMOSの信号選択回路は、量子コンピュータ実現のための基盤技術と見なされ、大規模な量子計算システムへの応用が期待されています。

今後の展望



今後は、実際の量子ビットと接続して、状態制御動作を検証する計画が進められています。また、この研究成果は2025年6月に開催される「IEEE Symposium on VLSI Technology and Circuits」で発表される予定です。

この技術の開発は、国家が進める次世代コンピューティング技術に向けた重要な取り組みの一環です。量子コンピュータの普及には、多くの技術革新が求められ、今回の開発がその一端を担うことが期待されます。

ぜひ、この新しい技術にご注目ください。


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