東レリサーチセンターが新たに構築した評価体制
株式会社東レリサーチセンター(TRC)は、このほど300 mmウェーハ対応の最新型水銀プローバを使って、先端半導体向けの絶縁膜の電気特性と欠陥評価を行う革新的な評価体制を整えました。この技術により、従来は必須だった評価用デバイスの作成不要で、ウェーハそのものの状態で評価が可能になり、開発サイクルが大幅に短縮される見込みです。
背景
最近、生成AIの普及に伴い、データセンターの効率化が求められています。特に低消費電力で高性能な半導体の実現が必要であり、その鍵となるのが絶縁膜の性能です。絶縁膜は、1 nm以下から数 nmの極薄なものが使われ、その品質は半導体の性能や寿命に大きな影響を及ぼします。これにため、先端半導体の開発には高度な電気特性や欠陥分析が必須でしたが、従来は評価デバイスの製作に多くの時間を要していました。
新技術の概要
TRCの最新技術では、300 mmウェーハ対応の水銀プローバを導入し、電極の形成を行わずにウェーハのまま電気特性を測定できます。また、DLTS(過渡容量分光法)装置を用いて、絶縁膜中の欠陥を高い精度で評価することが可能です。これにより、半導体材料の迅速なスクリーニングと開発効率化が実現できる体制が整いました。
特徴的な評価項目
新たな評価では、以下のような重要な項目が測定可能です。
- - 比誘電率
- - リーク電流
- - 破壊電圧
- - 絶縁信頼性試験(TDDB)
これにより、材料の特性を迅速に把握でき、信頼性の高い半導体の開発を促進します。
高精度な欠陥分析
TRC独自の技術開発により、最新のDLTS装置は、極薄の絶縁膜に存在する膜中や半導体界面の電気的欠陥を高い再現性で測定します。測定条件や電極構造の最適化により、従来に比べ定量性と活性化エネルギー分解能が向上しました。これにより、絶縁膜の性能評価が一層信頼性を持ち、製品化の見通しも明るくなります。
今後の展望
TRCは、今回の電気特性評価機能の強化に加えて、従来から提供している様々な分析と組み合わせ、開発段階や課題に応じた総合的な分析サービスを展開していく予定です。先端半導体産業のニーズに応えつつ、より高性能な材料開発への貢献を目指します。
用語解説
- - 水銀プローバ: ウェーハの電気特性を測定するために、水銀を用いて一時的な電極を形成する装置です。
- - DLTS(過渡容量分光法): 半導体中の電気的欠陥を評価するために、電気特性の時間変化を解析する手法です。
- - TDDB(経時絶縁破壊): 絶縁膜が破壊されるまでの耐久性を測定する試験方法です。