ScalarDB 3.15の概要と新機能
2023年、株式会社Scalarが発表したScalarDBの新バージョン3.15は、業界におけるデータ管理の安全性と効率性を向上させる大きな進化を遂げました。新機能として導入された「属性ベースのアクセス制御機構」と「ベクトルストアへの対応」について詳しく見ていきましょう。
属性ベースのアクセス制御機構
これまで、ScalarDBではテーブル単位でのアクセス制御が主流でしたが、バージョン3.15ではレコード単位でのきめ細かいアクセス制御が可能となりました。この機能により、ユーザーの属性や役割に基づいて、特定のレコードへのアクセス権限を柔軟に設定することができます。
例えば、異なる組織が同じテーブルを共有する際に、それぞれの組織がアクセス可能なデータを細かく設定できるため、セキュリティの向上が図れます。このような機能強化は、特に金融業界など、セキュリティが極めて重要な分野での利用を考えると非常に有益です。
ベクトルストアへの対応
新たに追加された「ベクトルストア」により、ScalarDBではAIに関連するデータの処理がさらに簡単になります。具体的には、ベクトルデータの追加や検索がScalarDBのベクトルインターフェースを通じて行えるようになりました。これにより、大規模言語モデル(LLM)や検索拡張生成(RAG)といった、AIを駆使した先進的なビジネスモデルの構築が容易になります。
ScalarDB 3.15では、様々なベクトルストアや埋め込みモデルがサポートされています。具体的には、OpenSearchやAzure Cosmos DB NoSQL、Amazon Bedrock、Google Vertex AIといった、業界で広く利用されているモデルが含まれています。このことは、ユーザーにとって多様な選択肢が増えることを意味し、ビジネスのニーズに応じた柔軟な対応が可能となります。
日付型・時刻型データの追加
さらに、日付型や時刻型のデータ(DATE, TIME, TIMESTAMP, TIMESTAMPTZ型)も新たにサポートされ、これにより日付情報を要するアプリケーションの構築が容易になりました。既存のアプリケーションからの移行もスムーズに行えるため、利用者にとって大きなメリットとなるでしょう。
今後の展望
株式会社Scalarは今後も、データウェアハウスやデータレイク製品への対応、クラウドマーケットプレースへの出品、さらには災害対策を考慮したシステムの開発を計画しています。データ管理の信頼性を高め、ユーザーにとってより使いやすい製品を提供し続けることが期待されます。
株式会社Scalarの紹介
東京とサンフランシスコを拠点に持つ株式会社Scalarは、データ管理の信頼性を追求し、分散トランザクションマネージャ「ScalarDB」の開発・販売に力を入れています。これらの新機能は、時代のニーズに応えるものであり、業界の課題解決に貢献することを目指しています。
詳細は、株式会社Scalarの公式ウェブサイトをご確認ください。