インキュベイトファンドが新たなグロースファンドを発表
2023年、インキュベイトファンド株式会社が新たに設立したグロースファンド『IF Growth』が、総額300億円規模になることが発表されました。このファンドは、特に非上場のグロースステージにある企業への資金供給を目的とし、日本発のスタートアップの持続可能な成長を支援することを目指しています。
設立の狙いと背景
日本のスタートアップ市場は、近年、M&Aやセカンダリー取引へのニーズの高まりを背景に大きな変化を迎えています。これに伴い、非上場グロースステージ企業へのキャピタル供給が欠かせない状況にあると、インキュベイトファンドは認識しています。これまでシードステージに特化した支援を提供してきた同社は、この新しいグロースファンドを通じて、さらなる資本循環の確立を目指しています。このファンドは、東京都のスタートアップ戦略推進本部からも支援を受け、官民連携の事業として位置づけられています。
市場の変化と期待
東京証券取引所は2025年における上場維持基準の見直しを発表しており、これによりスタートアップ企業への注目度が高まると予想されています。この変化は、流動性や成長性、業績の質に対する評価基準の確立を促します。インキュベイトファンドとしても、この動きを歓迎しており、これを機にスタートアップ支援の強化を図っています。新たに設立された『IF Growth』が、これらの動きに寄与し、非上場期間中の企業成長を支える重要な役割を果たすことを期待されています。
ジェネラルパートナーの招へい
新ファンドの運営には、元SMBC日興証券の井原昌史氏が専任のジェネラルパートナーとして参画します。彼は長年にわたり投資銀行業務に従事し、多くの上場企業の資金調達業務をリードしてきた経歴を持っています。井原氏の専門性を生かし、非上場企業が上場その後も継続的に成長できるためのエクイティストーリーを戦略的に構築し、キャピタルマーケットとの対話を強化していきます。
投資戦略のポイント
インキュベイトファンドは、以下の3つの領域に注目して投資を行います。
1.
Deep Tech: 先端技術をテーマにした公益性の高い領域への投資。
2.
Creative Industry: 新たなコンテンツや文化を創出するための既存IPの最大化を図る領域への投資。
3.
Business Solution: 国内の産業全体の生産性を向上させるデジタルソリューションや業界の変革を促すビジネスモデルへの投資。
これにより、成長が期待されるスタートアップ企業に対して、しっかりと資金支援を行い、市場のニーズに応じた適切なサポートを提供します。
シードステージファンドのファイナルクローズ
また、インキュベイトファンドはシードステージに特化したファンド『IncubateFund VI L.P.』を関連ファンドとともに総額205億円でファイナルクローズしました。このファンドは、創業期のスタートアップへの投資を行うもので、全4つの重点領域において、国内外で通用する技術やサービスの成長を支援します。これにより、日本発のグローバルなビジネスを目指すスタートアップにも投資機会を提供し、新たな価値創造を促進します。
まとめ
インキュベイトファンドの『IF Growth』による新たな資本循環の構築は、日本スタートアップ界における成長を促進させる重要なステップです。今後も、国内外のさまざまなステークホルダーとの連携を深めながら、より良いエコシステムの実現に向けて努力していく所存です。