こども誰でも通園制度の先行実施からの教訓
東京都杉並区にて「こども誰でも通園制度」を先行実施している社会福祉法人風の森のPicoナーサリ久我山駅前。2024年から公式に運用が始まり、すでに多くの応募が寄せられています。この制度は、保護者の就労の有無に関わらず、すべての子どもが保育施設で定期的に預けられるというものです。
この取り組みは地域の子育て支援において新たな一歩を踏み出すものですが、実際の運用を通じて見えてきた現場の実態や運用上の課題について解説します。
制度の実施状況と実績
Picoナーサリ久我山駅前では、2024年度に31名が応募し、15名の定員に対して高い倍率を示しています。特に2025年度では、30名が応募したにもかかわらず、定員15名に対し再び2倍の応募数となっています。この数値は、制度への高いニーズを示しています。
保護者からは、「育児休業中に子どもを保育園に預け、第二子との時間を増やすことができている」といった声も多く、制度を利用することで育児の負担が軽減され、心のサポートも得られています。
制度のメリット
1.
集団生活の経験: 子どもたちは多様な仲間との関わりを通じて社会性を育む機会を得られます。
2.
育児負担の軽減: 定期的に預かってもらうことにより、親は安心して育児に励むことができます。
3.
育ちの応援: 全ての子どもが良質な環境で育つことが期待できます。
これらのメリットは、制度が持つ本来の意義と言えるでしょう。
直面するデメリット
しかし、制度の運用にはいくつかの課題も少なくありません。実際の運用を通じて浮き彫りになった困難は以下の通りです。
1.
保育現場の負担増: 定期的な預かりにより、保育士の業務が増え、安全面や保護者対応の十分な対応が求められます。
2.
保育の質の低下: 通常保育が手薄になることで、在園児への保育の質が低下する可能性があります。
3.
保育士不足の深刻化: 保育士を確保することがさらに難しくなり、現場の負担が増すことが懸念されます。
これらの課題に対し、「預かるほど負担が増す」と感じている保育士の声も多く、制度の持続可能性に疑問が持たれています。
現場からの声
保育士の一人は、「定期利用により保護者と良好な関係が築けるが、環境が整っていないと効果的な支援が難しい」と語ります。また、国の制度が複雑化している結果、保護者への説明責任や事務作業の負担が増加し、実際に子どもたちと接する時間が削られているのです。
今後の展望
「こども誰でも通園制度」は、満3歳未満の子どもに対して柔軟に利用できる新たな通園制度として位置づけられていますが、今後の持続的な運用には現場の実態を反映した制度設計が必要不可欠です。また、保育士の処遇改善が実現されなければ、現場での制度実施は困難を極めるでしょう。
私たちはこの制度を通して、地域の子育て支援を拡充し、全ての子どもが幸せに育つ社会を目指していきます。保育士の確保や処遇を改善し、負担を軽減することで、制度が本来の目的を果たせることを期待しています。