広島「智の伝承」
2026-05-07 09:53:25

広島での「智の伝承」セミナー、貴島氏が語る次世代ものづくりの哲学

広島での「智の伝承」セミナー、貴島氏が語る次世代ものづくりの哲学



2026年4月21日、広島県情報プラザでニュートンワークス株式会社主催のセミナーが開催されました。このイベントには、元マツダの伝説的エンジニア、貴島孝雄氏が登壇し、未来のものづくりに向けたさまざまな話題が提供されました。セミナーのテーマは「智の伝承であり、感性を重視したモノづくりについてのセッションが行われました。

貴島氏のキャリアと「人馬一体」コンセプト



貴島氏はマツダのロードスターの開発主査を務め、その質感や走行性能を追求する中で培った経験を基に、テクノロジーにおけるフィロソフィーを語りました。特に「人馬一体」というコンセプトは、ドライバーが意図した通りの反応を示す車両の特性を重視しており、それに基づいた設計プロセスが重要です。これにより、運転する楽しさと安心感を提供することが可能になります。

ロードスターの開発においては、動的な動作をいかに制御し、軽量化を達成するのか、さらにはドライバーの感覚にどのように寄り添っていくかをテーマに数値化することが求められました。特に、操作系の触感や視界の見え方に細かく気を遣うことが「あたかも車が自分の意図を理解しているかのような感覚」を与えると強調しました。

感性価値とホルモンシャワー



また、セミナーの後半では、貴島氏が「ホルモンシャワー」と呼ぶ、感性の価値について深堀りしました。これは、運転している時に脳内で分泌されるホルモンのことで、安心感を与えるセロトニン、達成感をもたらすドーパミン、リズミカルな運転が引き起こすエンドルフィンなどに言及しました。これらの体験を設計に取り込むことで、製品が単なるモノから文化へと昇華されるという視点を示しました。

エンジニアリングへのメッセージ



さらに、貴島氏は広島の「飽くなき挑戦」の歴史に触れつつ、現在のエンジニアに向けたメッセージを発信しました。「過去の試行錯誤から学ぶべきは、ただ技術的なスペックだけではなく、人を中心に据えた「こころづくり」の重要性だ」とし、技術革新が進む中でも「技術の先にいる人間を見ること」を強調しました。彼の語る「智の伝承」は、単なる技術の継承に留まらず、エンジニアとしての精神や道徳の継承の重要性を説いています。

ニュートンワークスの新技術



セミナーの後半では、ニュートンワークス株式会社の田中友和氏が、人間中心の開発手法を効率的に実現するための最新技術について紹介しました。特に、SimulationXを利用した車両全体のモデル化やトポロジー最適化を駆使した理想形状の設計方法、データサイエンスを活用した設計空間の可視化技術が取り上げられました。これらの技術は、今後のものづくりにおいて非常に有益であることが期待されます。

締めくくり



全体を通して、「智の伝承」というセミナー名の通り、過去の知恵を基に未来を作り出すことの重要性が強調されました。エンジニアたちは、伝統と技術革新を結びつけることで、より素晴らしい製品を世に送り出していくことが求められています。広島が生んだ「人を大切にする文化」が、今後も多くのエンジニアに受け継がれていくことを願ってやみません。


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