新たなSNSの可能性を探る「インドラネット」展
この秋、東京でアーティストたかくらかずきが手掛ける新たなSNSの実験的な展示が行われます。「インドラネット」というSNSが創り出す円環状の言葉が、どのように人々の心をつなぎ、そして新たなコミュニケーションの形を模索していくのか。この展示は、10月7日から10月29日まで、港区にあるソーシャルイシューギャラリー「SIGNAL」で開催されます。
展示概要
この展覧会では、たかくらかずき氏と視覚言語研究者の清水淳子氏、SIGNINGの天野真氏が共同で制作した「インドラネット」というSNSを展示します。SNSは通常、時間の経過とともに情報が流れていくもので、タイムラインによって情報が整理されています。しかし、「インドラネット」では、投稿は円形に表示され、古くなった言葉が「山に還る」というアイデアが中心に据えられています。ユーザーは、時間の経過と共に言葉の変化を体験し、まるで花火のように打ち上げられる新たな表現に触れることができます。
この新たなSNSの特徴は、中央に向かうタイムラインが存在せず、ユーザーごとに唯一の円形の投稿が浮かび上がるという点です。これにより、参加者は言葉の流れに揉まれることなく、各自の思考を自在に展開できる空間が創り出されます。
アーティストの意図
たかくらかずき氏は、このプロジェクトを通じて、現代のSNS空間が持つ時に無機質な構造と、そこで生じるヒエラルキー、さらにそれに伴う焦燥感を取り払い、「言葉」の本来の力を再発見することを目指しています。彼の故郷では、花火大会が人々を熱狂させ、その後の静けさが一層の対比を与える。このような経験から、彼は「インドラネット」にそのエッセンスを注ぎ込みました。
また、仏教における「インドラの網」の概念も触れられています。そこでは、無数の珠が連なり互いを反映し合い、全体の中で中核が存在しない様子が示されています。この考えを持ち込み、現代社会におけるつながりと分断を問い直すことを試みています。
参加アーティストのプロフィール
たかくらかずき
アーティスト。1987年東京生まれ。大学院では視覚表現を学び、デジタルアートを中心に多彩なメディアで作品を制作。現代美術のルールを再構築するために、多様な技術を駆使しています。
清水淳子
視覚言語研究者。多摩美術大学で多様な価値観を可視化する研究を行い、著書もあります。彼女は社会における対話の重要性を探求し続けています。
天野真
エンジニアとして、AIと社会との関係性について研究を重ね、形成されるデジタル空間に対する意識を高めるべく、多様な表現方法を使用しています。
展示情報
- - 開催期間: 2025年10月7日(火)~10月29日(水)
- - 開館時間: タイムスケジュールが異なりますので、詳しくは公式サイトでご確認ください。
- - 入場料: 無料
- - 場所: 東京都港区虎ノ門1丁目2-11、The ParkRex TORANOMON 1F
さらに、オープニングレセプションが10月7日18:00から開催されます。この機会にぜひ、アーティストの思想が詰まった「インドラネット」の世界を体感してみてください。
SIGNALの特長
「SIGNAL」は、来場者が社会的課題に向き合うための場としても機能します。アートを通じて新たな視点を引き出し、アンケートデータを通じて社会との対話を深める試みが行われています。来場者の考えを集め、日々の課題に目を向ける手助けをしています。これにより、いよいよ新しいアイデアが生まれることが期待されます。
私たちは、たかくらかずき氏の作品を通じて、新たな言葉の可能性を探ることができるこの機会を逃さずに、アートと共に社会に目を向けて思索を深めていきましょう。