海外赴任者の支援
2025-12-04 13:17:38
海外赴任者とその家族を支える新たなサポート体制の必要性
EYが明かす海外赴任者への支援体制
最近、EY税理士法人は「第9回EYモビリティサーベイ」の結果を発表しました。この調査では、国内200社以上の企業を対象に、海外赴任者とその家族を支えるための実態が探られました。特に注目されたのが、帯同家族に対する支援体制の見直しです。
帯同する子の教育費
結果によれば、全体の89%の企業が帯同する子の就学前教育費用を何らかの形で支給していると回答。その支給額の中央値は約200万円であり、日本での幼稚園年間授業料を考慮した額となっています。企業は幼稚園選定において、海外子女教育振興財団の情報や現地の責任者からのフィードバックを参考にしていますが、基準校設定は企業によってばらつきがあります。
中には、全額を赴任先が負担する拠点が6割以上とされており、教育費用の負担が税務調査の「寄付金」として問題視される危険性もあるため、企業側は負担を現地に求める傾向にあります。
帯同家族の現地就労
また、調査結果では、帯同家族の現地就労を認めている企業が6割に達しています。しかし、実際に現地での所得税申告をサポートしている企業は1割未満で、この点も改善が求められています。現地就労を好意的に受け入れない企業の理由としては、ビザの問題や税務的な懸念を挙げる声が多く、その結果、家族のキャリア形成や共働きに対する意識が影響を受けています。
出産と育児に関するサポート
興味深い点は、赴任中の出産や育児に関する規程を見直したいと感じている企業が53%に上ることです。出産費用や育休の制度、さらには不妊治療費の取り扱いについて具体的な規則が必要だとする意見が多く、従業員の生活設計にも大きく影響する要素です。特に赴任中における育児休業の取得に関心を持つ企業も多いとはいえ、実際にケーススタディがない企業が多数を占めています。
今後の課題と展望
EYの藤井恵パートナーはこの調査結果を受け、「企業は、帯同家族を含む新たな支援体制を整備する必要がある」と強調しています。円安や海外物価の上昇が影響を及ぼす中、社員家庭の世帯年収に与える影響は深刻です。今後、制度の再設計が必要であり、[[ジョブポスティング制度]]や配偶者の継続就労支援など、多角的なアプローチが求められるでしょう。また、リモートワークや現地就労条件の整備が進めば、赴任者だけでなくその家族にも大きなメリットが生まれるはずです。
今後の施策として、企業は多様化した家族形態や働き方に柔軟に応じることで、海外赴任者制度の活性化が見込まれます。EYでは更なるサポート体制の確立に向けて、調査の継続とセミナーの実施を行い、企業が直面する課題を解決するための情報提供を行う予定です。これにより、関係者間の理解が深まり、海外赴任者とその家族を取り巻く環境の改善が期待されます。