大田区、府中市、神津島村の観光振興に向けたデータ活用の取り組み
近年、東京エリア各地の観光振興に向けた支援が強化されています。その一環として、株式会社unerryが東京都の「令和7年度DXによる観光データ活用等支援事業」に参画し、大田区、府中市、神津島村と連携して観光に関する課題の分析を行いました。この取り組みでは、人流ビッグデータやさまざまな観光データを活用し、地域の実態を把握することで、将来的な観光施策の方向性を示しています。
大田区の観光課題
大田区は羽田空港という交通の要所を抱え、多くの観光客が訪れる地域です。しかし、その多くは空港利用のついでに近隣を訪れるため、回遊率や滞在時間、消費額の向上が望まれています。現在、蒲田や大森など周辺エリアでの短時間滞在が多く確認されており、観光客が地域内でどのように回遊しているかを詳しく分析する必要があります。
解決に向けた方針
unerryは、既存のスタンプラリー施策に対して人流データを活用し、「どこのスポットを設置すれば観光客の周遊が促進されるか」について検討を進めています。また、施策間での効果比較ができる指標の整備と、データ収集の仕組みづくりにより、限られたリソースで継続的な観光施策を運営する体制の構築を目指しています。
府中市の観光施策
府中市では、来訪者の満足度向上や滞在時間の促進に取り組んでいます。しかし、訪れる人々がどこから何の目的で来るのかを把握できておらず、それが大きな課題となっていました。
来訪者の行動分析
人流データの分析によると、来訪者は大きく二つのグループに分かれます。一つは特定の目的、例えば東京競馬場やイベントのために訪れる層で、地域外から集客の可能性が示されました。もう一つは、近隣の住民が商業施設や公園で過ごす層で、これは「暮らしの延長」としての訪問機会が形成されていることを示します。
新たな施策の実施
府中市では、域外からの訪問者だけでなく地域住民の「おでかけ」にも注目し、居住者にとって価値のあるコンテンツや施策の検討を進めています。地域内の合意形成や事業者の連携を強化することで、外からの観光客にも受け入れられる準備を整えていくことが目的です。
神津島村における観光振興
神津島村では来訪者が閑散期に減少する問題が浮き彫りとなっています。これまでの観光客像として「星空観察を目的とした女性層」が主に想定されていましたが、人流データの分析により「登山を楽しむ30〜50代男性層」という新たな来訪者像が見えてきました。
満足度向上に向けた取り組み
アンケート調査では「事前に知っておきたかった情報が不足していた」との意見もあり、情報提供や滞在体験の改善が求められています。従来の広告強化施策から、観光客の満足度を高め、ファンになってもらう深いニーズに移行し、新たに把握された来訪者像に基づくサービスの提供方法の検討を行っています。
まとめ: データドリブンな観光施策
unerryのデータ分析により、観光施策の自走を目指す取り組みが進められています。地域行政や観光協会との効果的な対話を通じて、観光施策の方向性が整理され、具体的な施策実行へとつながっています。また、検討した内容を基にした効果検証も行い、持続可能な観光施策の運営体制を築いています。
これらの取り組みを通じて、東京都内では観光施策が進化し続けており、地域の観光課題にしっかりと対応していくための基盤が整いつつあります。