四半期ごとの企業経済動向分析
株式会社東京商工リサーチ(TSR)は、2025年3月に実施した「TSR経済動向調査」の分析結果を公開しました。この調査は全国6,172社を対象としたもので、企業活動の現況を把握するための重要なアンケートです。業種や企業規模、地域差による傾向を可視化し、経済全体の動きに迅速に対応することを目的としています。
調査の主要なトピックス
地域経済の活性化
報告書によれば、業況が良好なのは沖縄、熊本、山梨の3地域で、観光需要の復活や、半導体産業の活発化が鍵となっています。特に、TSMC(台湾セミコンダクター製造会社)の工場が稼働することで、地元経済が大きな恩恵を受けています。しかし、他の地域では景況感がいまひとつで、業績回復に向けた施策が必要とされています。
中小企業の倒産リスクの高まり
一方で、中小企業では倒産への懸念が高まっています。従業員100人未満の企業の中で、半数近くが、自業界における倒産増加を予測しているという結果が出ています。とりわけ、小規模な事業者は経営基盤が脆弱であるため、孤立した状況に直面しています。
非正規雇用の課題
非正規雇用が確保できない企業も増加しています。特に中小企業が多く、賃上げ圧力の中で収益が悪化し、採用予定のない企業も多いことが明らかになりました。このような中で、労働市場の変動に適応する必要性が増しています。
建設業の人手不足
建設業界では、正規社員・非正規社員ともに人手不足が深刻です。業界ごとの需給ギャップが顕在化しており、倒産件数増加とも関係しているとの見方が広がっています。特に人手不足は、地域経済の活力に大きな影響を及ぼします。
価格転嫁の難しさ
さらに、インフレが活動を圧迫しています。仕入価格が上昇する一方で、販売価格の引き上げが追いついていないため、商品販売の際に利益が圧迫されています。部分的には価格引き下げを余儀なくされる企業もあり、この現象が収益確保に苦しむ背景を作っています。
地方経済の格差拡大
特に東北や四国南部などでは、非正規雇用の人材不足が顕著です。このままでは地域間の経済格差が拡大する恐れがあり、持続可能な経済成長には支援が求められています。
調査の概要
この調査は四半期ごとに実施され、時系列での分析を通じて、経済のトレンドを捉える重要な資料となっています。調査名は「TSR経済動向調査(2025年3月調査)」で、調査期間は2025年3月3日から3月14日まで、WEBアンケート形式で行われました。常にリアルタイムで日本の経済を把握するためには、皆様の協力が不可欠です。この調査は経済政策や企業戦略にとって、貴重なフィードバックを提供する基礎資料ともなります。
株式会社東京商工リサーチについて
TSRは日本で最も古い信用調査会社であり、1,009万件を超える企業データベースを有する国内最大級のリサーチ機関です。また、世界最大級の企業情報プロバイダーであるD&Bの日本における唯一のパートナーとして、全世界の企業情報を提供しています。
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皆様のご協力をもって、日本の経済の動向や課題解決に向けた動きが進展することを願っています。