北米市場に挑む積水化学の新戦略
積水化学工業株式会社は、カナダのオンタリオ州に新たなモジュラー製造の拠点を設立しました。この新会社「SEKISUI CANADA MODULAR SOLUTIONS INC.」は、2023年11月28日に設立され、北米における住宅不足という社会的課題に対処することを目指しています。
住宅不足へのアプローチ
近年、カナダでは移民政策の影響で都市部への人口集中が進み、それに伴い住宅不足や高騰する住宅価格、家賃の問題が深刻化しています。政府はこの状況を受けて、工期が短くコスト効率の良いモジュラー建築に注目し、大きな期待を寄せています。このような背景の中、積水化学は50年以上の実績を生かし、モジュラー建築の設計・製造のノウハウを提供し、カナダの住宅市場に貢献しようとしています。
モジュラー建築とは?
モジュラー建築は、あらかじめ工場で製造された部品を現場で組み立てる方式で、施工の効率化を図ります。特に、ボックス化されたモジュールの採用により、さらなるスピードと品質を追求しています。日本国内での成功実績を踏まえ、積水化学はカナダ市場でもそのノウハウを活かし、住宅不足解消を目指します。
新会社設立の背景
「SEKISUI CANADA MODULAR SOLUTIONS INC.」の設立は、カナダ東部の市場におけるモジュラー製造工場を立ち上げ、2026年までに設計・製造・販売の体制を確立することを目指しています。この地域はカナダの人口の約4割が集中しており、住宅需要が高いことから、トロントやオタワ、モントリオールといった主要都市をターゲットにしています。
具体的な事業展開
新会社は、教育施設や集合住宅、介護施設など、特に需要の高い低層ビルや中層ビルの供給を優先する予定です。また、モジュラー建築に関する法整備にも関与し、現地のパートナーと連携して安定したサプライチェーンの構築に取り組みます。
カナダの市場に加え、将来的には米国の中高層モジュラー市場への進出やカナダ西部への事業拡大も視野に入れています。
直近の計画
新会社設立後の計画は、2025年12月から2026年3月にかけて、事業の立ち上げ準備を行います。これには生産設備の導入やモジュラー認証の取得が含まれます。続いて2026年4月から6月には製造テストを実施し、2026年7月には本格的な製造を開始する予定です。
最後に
このように積水化学は、北米の住宅市場に向けた新たな一歩を踏み出しました。独自のモジュラー技術を駆使し、住宅不足に貢献できることを期待しています。今後の進展に注目です。