ドゥマゴ文学賞
2025-12-09 16:03:47

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式の模様を振り返る

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式レポート



2023年11月27日、東京の恵比寿に位置する日仏会館において、第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞の授賞式が盛大に執り行われました。この文学賞は、1990年に設立され、既成の枠組みにとらわれることなく、先進的で独創的な文学の可能性を追求することが目的です。毎年異なる選考委員によって受賞作が選ばれるスタイルが特徴です。

受賞作の紹介



今年の受賞作は、ノンフィクションライター・最相葉月氏が選考委員を務めたことにより、川内有緒氏の『ロッコク・キッチン』が選ばれました。この作品は、国道6号線沿いでの暮らしや食文化を探る旅を描いたもので、文芸誌「群像」に2024年10月号から2025年8月号まで連載されることが決まっています。他の作家や研究者とは異なる視点で、人々の食や暮らしのリアルを丁寧に掘り下げています。

授賞式の初めには、最相氏と川内氏による受賞記念対談が行われました。川内氏は、作品制作の背景として、国道6号線の風景の変遷を観察する中で、生きることがどういうことなのかという根本的な命題に興味を持ち、取材を開始したと語っています。

取材の手法と作品の形成



対談中、川内氏は本作の制作スタイルについても触れました。「自分の筆1本で物語を伝えようとこだわるのではなく、必要に応じて写真や映像の力も借りたい」とし、多様なメディアを通じて伝えたいという想いを強調しました。

さらに、作品全体に影響を与えたのは、大熊町で立ち働く福島第一原発の従業員との出会いであり、地域の暮らしや文化に対する理解を深くするものであったことも明かされました。この会話の中で、作品に対しての思い入れがどのように育まれたのかが伺えました。

贈呈式の模様



続いて贈呈式が行われ、賞状と共にスイス・ゼニス社製の高級時計が川内氏に贈呈されました。また、メルシャンの大家紳一郎氏からは、川内氏の名が刻まれたマグナムサイズのシャンパンも寄贈され、作品に対する敬意が感じられました。川内氏は、受賞の喜びを語る中で、自らの作品が地域に根ざした人々の息遣いを反映した共同作品でもあることを強調しました。

地域とのつながり



最相氏は、「福島の人々が何を食べ、どのように生きているかは非常に重要なテーマであり、本書を通じて多くの人々と想いを共有したい」と締めくくりました。また、川内氏も受賞により新たなエネルギーを得たことを告白。地元の人々や故郷に帰れない方々への思いを語り、「福島の状況を知ってもらいたい」と広く呼びかけました。

結び



授賞式には、ドキュメンタリー映画『ロッコク・キッチン』の制作メンバーや、作品に登場する人たちが集まり川内氏の受賞を祝福。これらの出会いや経験を通じて、本作品がいかに多くの人々の協力によって成り立っているかが明らかになりました。

Bunkamuraドゥマゴ文学賞の受賞から得た様々な想いは、今後の文学界にも新たな風をもたらすことでしょう。

今後の展望



『ロッコク・キッチン』は、2025年11月20日に単行本として刊行され、さらに2026年2月にはドキュメンタリー映画の公開も予定されています。これらの作品を通じて、福島や全国の皆さんにとって、より深い理解が得られることを期待しています。


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