レガシーシステムの実態と企業への影響
近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められる中、障害となる存在として「レガシーシステム」が挙げられます。株式会社NTTデータビジネスブレインズが実施したアンケート調査では、221名の情シス実務担当者のうち、なんと84.7%が「触りたくない」と感じるシステムがあると回答しました。この調査の背景を掘り下げてみましょう。
レガシーシステムの恐怖
多くの担当者がレガシーシステムに対して抱く恐怖やストレスの根源には、長年の改修による複雑化や、システムへの手を加えることの不安があります。例えば、あるシステムを修正すると、それが関係する別の機能にまで悪影響が及ぶケースも珍しくありません。このような状況下では、現場の担当者は精神的な疲れを感じざるを得ないでしょう。
ブラックボックス化する運用
さらに、レガシーシステムの設計書やドキュメントが存在しない、または実際のプログラムと乖離しているという問題も深刻です。このアンケートでは、回答者の43.9%が設計書と実際のプログラムが「ほぼ完全に乖離している」とし、5.6%は「ドキュメントが存在しない」とのことでした。これにより担当者は、ソースコードを一行ずつ解読しなければならず、その作業が新たなストレスの種となっています。
属人化するシステム
また、特定のベテラン担当者への依存度が高いことも企業リスクです。もしその担当者が異動や退職した際に、システムに大きな影響が出るという回答が59.8%を占め、さらに15.6%は「基幹システムの停止を引き起こす恐れがある」としています。このように、一部の人材に業務が依存している現状は、企業にとって大きなリスクと言えるでしょう。
キャリアへの影響
保守や運用業務が続くことで、担当者たちは自らの市場価値が下がると感じ始めています。75.5%の人が、古いシステムに携わることへの危機感を持っています。新しい技術を取り入れたり、成長する機会を得られないことから、生産性の低下とともにモチベーションの低下も引き起こしています。
増える手作業
さらに、クラウドシステム導入後も手動作業が増えている現状があります。旧システムと新しいSaaSとの連携が不十分であるため、データの移行が手作業で行われるケースが増えているのです。この結果、多くの実務担当者が時間を削られ、業務効率が下がる一因となっています。
復旧プロセスの現実
システム障害時の復旧プロセスも問題視されています。52.4%が「バックアップや復旧の仕組みが不十分だ」とし、18.4%が「問題の特定に手間がかかる」と答えました。これにより、実務担当者が長時間をかけて復旧作業に追われることがあるため、労働環境の改善が急務とされています。
現場の負担と対策の行く末
今回の調査結果は、レガシーシステムがただのIT資産の老朽化問題に留まらず、現場の担当者の心理的および肉体的な疲弊を深刻化させる要因となっていることを示しています。企業はその重要性を認識し、リソースを投入しなければならない時期に来ていると言えるでしょう。
まとめ
最後に、レガシーシステム対策が十分に進んでいる企業は少数派であることが明らかになりました。多くの企業が、現場の「気合と根性」に頼らざるを得ない状況に陥っています。経営陣はITインフラの更新を「コスト」ではなく、企業の成長や持続性に不可欠な投資と捉えるべきです。システムの見直しを行い、実務担当者が「守り」ではなく「攻めのDX」に時間を使える環境を整備することが求められています。