2024年新卒ITエンジニア就職動向と今後の課題分析
総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社(以下「当社」)が発表した最新のレポートによれば、2024年の新卒ITエンジニアの就職者数は3年連続で増加しています。ただし、前年比の増加率は1.5%にとどまり、増加の勢いが鈍化していることが指摘されています。これにより、今後の新卒採用市場に不安要素が漂っています。
新卒ITエンジニアの就職者数の動向
高等教育機関を卒業したITエンジニアの新卒就職者数は、2024年には前年比1.5%の増加となりましたが、その増加幅は縮小傾向にあります。この背景には、文系学部出身者の就職率が上昇している一方で、理系学部の出身者数が徐々に減少している事情があります。特に、理系学部卒業の就職者は全体の37.8%にとどまり、依然として文系出身者の割合が増加していることが指摘されています。
さらに、性別分布についても注目が集まります。2021年にピークを迎えた女性の就職者割合は、2024年には32%に減少しており、採用市場での多様性の確保が一層重要視されます。
大学院卒のITエンジニアの需要
一方で、大学院を卒業したITエンジニアの就職者数は、2024年には前年比5.5%増加し、8年連続での増加を記録しました。このことは、高度なIT知識やスキルを持った人材へのニーズが高まっていることを示しています。特に、AIやデータ分析に関連したプロジェクトが多数進行している現状では、こうした高い専門性が求められています。
しかし、大学院におけるIT関連の学生数自体は横ばいのため、今後この分野で優秀な人材を獲得するには、企業間の競争が激化することが予想されます。育成や教育、そしてリスキリングへの取り組みが企業にとって不可欠な課題となるでしょう。
おわりに
IT業界は、急速な技術進化が続いているため、企業は柔軟な採用方針を見直す必要があります。また、従業員の育成プログラムの強化が重要であり、特に入社後の研修に力を入れるべきです。新卒のHR戦略は、単純な人数増加に留まらず、質の高い人材育成にシフトすることが求められています。今後、企業は人材を育成し、保持するために、さらなる戦略を模索していく必要があるでしょう。