物流施設市場の現状
2025-09-11 11:44:35

2025年物流施設市場の動向分析:賃料上昇と需給ギャップの関係

2025年物流施設市場の動向分析:賃料上昇と需給ギャップの関係



クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が発表した「物流施設 2025年上半期レポート」によると、現在の物流施設市場は複雑な状況にあることが明らかになりました。具体的には、表面賃料が上昇する一方で、実質賃料は下落傾向にあります。これには需給ギャップやコストの上昇が大きく影響しています。

荷動きの低迷と市場への影響



2025年6月時点の貨物輸送量は、前年同月比で輸送トン数ベースで7.1%減少し、輸送トンキロベースでは0.1%の減少が記録されました。また、NX総研の荷動き指数は、2023年第1四半期以降、9四半期連続で二桁のマイナスを記録しています。この先、2025年第3四半期には更なる悪化が予想されています。

慢性的な人手不足や物価の上昇、建設費の高騰が重なり、物流需要の回復が厳しさを増しています。各分野の企業は、物流費が過去12ヵ月で全体的に上昇し、特に食料飲料の卸売分野においては2023年には5.7%、2024年には9.1%に達する見込みです。これに伴い、物流事業者はコストの転嫁を進めています。

賃料の動向



物流施設の募集賃料は、主に高騰する建設費に影響を受けて上昇しています。しかし、実際の契約内容では、テナントを誘致するためのフリーレント(賃料免除期間)の提供が増えており、特に供給過多のサブマーケットではこの傾向が顕著です。その結果、実質賃料は下落しており、表面賃料との乖離が拡大しています。

一方で、MFLP横浜新子安やMFLPつくばみらいなど、満室竣工を迎えた物件も存在し、全体的に市場が停滞しているとは言えない状況です。当面は、テナント企業にとって人材確保と定着率の向上が重要な課題となっており、施設の機能性や利便性が拠点選定において重要な判断基準となっています。

2025年下半期以降の見通し



2025年下半期において、新規供給量は限られる予想です。これにより、緩んだ需給バランスは改善される見込みですが、フリーレントの縮小も考えられます。また、テナント企業の中には「トランプ関税」の影響を見極める姿勢をとる可能性もあるため、需給バランスの改善には時間がかかるかもしれません。

さらに、円高が進行した場合、輸出減リスクはあるものの、輸入品の価格下落が物価高を抑制し、荷動きに寄与する可能性も期待されています。

結論



報告書に基づくと、2025年の物流施設市場はさまざまな要因が絡み合い、困難な状況にありながらも、特定の地域や施設では明るい兆しも見られます。今後の動向に目が離せません。詳しい情報はレポートPDF版をダウンロードすることで確認できます。


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