フリージアの花弁に隠された新たな抗酸化物質の発見について

フリージアの花弁に秘められた新たな抗酸化活性

最近、日本の大学に関与する研究チームが、鑑賞花として人気のフリージアから新しい抗酸化物質を発見しました。この研究は、日本女子大学の新藤一敏教授率いるグループと石川県立大学の三沢典彦客員教授、竹村美保准教授、東村泰希准教授等によって行われました。また、東京大学の降旗一夫学術専門職員や石川県農業試験場とも協力して進められました。この発見は、フリージアの花弁に含まれる無色の水溶性ポリフェノールであるカフェオイルフラボノール配糖体（caffeoylquercetin glycosidesとcaffeoylkaempferol glycosides）についての詳細が示されています。

フリージア（Freesia X hybrida）は、春に開花するアヤメ科の植物で、日本国内で80%の市場シェアを誇る黄花フリージアをはじめ、白、ピンク、青、紫、赤など多様な花色を持ちます。特に、石川県の農業試験場で開発された「エアリー」と名付けられた品種は、市場での人気を集めています。市販用の切り花として、その優雅な花姿と心地よい香りから多くのファンに愛されています。

フリージアには「親愛の情」「友情」「感謝」という美しい花言葉があり、日本女子大学の創立者である成瀬仁蔵先生の好んだ花としても知られています。石川県はこの花の生産を振興し、「エアリーフローラ」シリーズとして、13の交配品種を開発、フリージアの栽培農家を支援する活動を行っています。

本研究により、フリージアの花弁から強力な抗酸化能力を持つ無色の水溶性ポリフェノールが発見され、これが追加の研究において機能性食品の材料として活用されることが期待されています。従来の研究では、フリージアの黄花に含まれる黄色素（クロセチン配糖体）に関する知見が報告されていましたが、今回の知見はこれを大いに進展させるものです。

具体的には、黄花と白花のフリージアから高い抗酸化活性を持つ水溶性ポリフェノールを分離・解析した結果、それが新たなカフェオイルフラボノール配糖体であると判明しました。これにより、従来知られていた成分以上に強力な抗酸化作用が示され、特に3’-caffeoylquercetinが優れたラジカル消去作用を示しました。これらの新規物質は、食事や医薬品の領域での利用が期待されますが、まずはその安全性の確認が求められます。

フリージアが持つ防御的な機能についても注目譲れられます。解析の結果、これらの化合物が光酸化からの保護に寄与し、花が長期間美しさを保つ手助けをしていることが示唆されました。また、これらの副産物が草食昆虫に対する忌避物質として働く可能性も考えられます。

この画期的な研究成果は、スイスの専門誌『Antioxidants』に発表されたばかりで、フリージアの秘めた可能性が今後共に広がることが期待されています。フリージアは、アジアをはじめとした多くの国で「エディブルフラワー」として知られているため、この発見は機能性食品や医薬品の開発にも役立つでしょう。しかし、利用に関しては慎重に行う必要があります。

日本女子大学及び関係者は、今後もこの研究をもとに、さらなる可能性を探求していく意向を示しています。日本女子大学は創立120周年を迎え、理学部、食物学科を中心に、女性の教育と革新を推進し続けています。これからも新しい知見と技術を通じ、フリージアの研究が活発化することが期待されます。