東海カーボンとブリヂストンが進めるタイヤリサイクル技術開発の最前線

東海カーボンとブリヂストンが推進するリサイクル技術

2025年1月31日、東海カーボン株式会社、ブリヂストン、国立大学法人九州大学、岡山大学の4者は、持続可能な資源利用を目指し、使用済みタイヤなどからカーボンブラックを生成する共同プロジェクトをスタートしました。本プロジェクトでは、タイヤなどの高分子製品から回収したカーボンブラックを新しい技術で加工し、新品と同等のゴム補強性を持つ「環境に優しいカーボンブラック（eCBTM）」を生産することを目指しています。

プロジェクトの背景

近年、環境問題への関心が高まる中、自動車業界では再生資源を活用した原材料の需要が増加しています。特に、使用済みタイヤはそのまま燃焼するのではなく、資源として有効活用されるべきです。しかし、従来のリサイクル方法では再生されたカーボンブラックには不純物が多く含まれており、タイヤに使用する際のゴム補強性が新品のカーボンブラックに比べて劣るという課題がありました。

技術の概要

このプロジェクトでは、まず使用済みタイヤ等から回収した再生カーボンブラック（rCB）を二次処理し、新品のカーボンブラック（vCB）に匹敵するゴム補強性を持つeCBを製造します。具体的には、東海カーボンが長年のカーボンブラック製造の経験を活かし、ブリヂストンが積み重ねてきたゴム技術と九州大学、岡山大学の研究成果を融合していきます。

各機関の役割

- 東海カーボン: rCBをeCBに加工するための技術開発を担当
- ブリヂストン: eCBを使用したゴムの物性やタイヤの実用性評価
- 九州大学: eCBの表面状態観測とゴム補強メカニズムの解明
- 岡山大学: 特殊ポリマーおよび特殊カーボン複合体の開発

今後の展望

プロジェクトでは、2032年度までに年間5000トンのeCBを生産するための実証プラントの稼働を目指しています。また、さらなる技術革新として、使用済みタイヤを熱分解せずにリサイクルする新素材の開発にも取り組んでいます。これらの技術が実現すれば、資源の循環性が大きく向上し、同時にカーボンブラックの生産やタイヤ処理に伴うCO2排出量の削減にも寄与できると期待されています。

結論

この共同プロジェクトは、持続可能な社会を実現するための大きな一歩です。東海カーボン、ブリヂストン、九州大学、岡山大学が連携し高い技術力を発揮することで、未来のリサイクル技術が開発されることを楽しみにしています。製品の具体的な進捗や成果が発表される日が待ち遠しいです。これからも環境に優しい取り組みに注目していきましょう。