B型肝炎給付金制度の審査遅延が及ぼす生活への影響と改善要望
B型肝炎給付金制度は、国の過去の施策によって感染被害を受けた人々に対し、責任を認め、救済を行うために設立されたものです。しかし、この制度における審査が遅延し、長期化することにより、被害者たちが深刻な影響を受けています。本記事では、弁護士法人AdIre法律事務所が発表した声明を基に、審査遅延の実態や影響を報告し、改善を求める声を紹介します。
緊急アンケートの結果
令和7年8月8日に実施された緊急アンケートでは、以前に給付金を受け取った161名からの回答が寄せられました。この調査結果は、B型肝炎給付金制度が抱える問題を明確に示しています。
医療費支出の実態
回答者の半数以上が、給付金を医療費の補填に使用していると回答しました。具体的には、治療費が不足し、新たに借入れを行わざるを得なかった方や、過去に支払った医療費の返済を続けている方もいたことが判明しています。これは、給付金が本来の目的である救済に貢献できていない現実を浮き彫りにします。
検査・治療の延期
国の対応が遅れることで、治療や検査を延期または中止せざるを得なかった方も多くいます。これにより、被害者は本来受けるべき医療を受けられず、健康状態が悪化する事態が発生しています。こうした事例は、審査の長期化が健康被害を拡大させている可能性を示唆しています。
症状の進行
アンケートの結果から約1割の回答者が、申請中に症状が進行したと答えています。これは、審査の遅延によって治療機会を失うリスクが高まっていることを意味しており、非常に深刻な問題です。
審査期間に対する要望
さらに、7割以上の回答者が審査期間の短縮を強く希望しており、特に「遅くとも1年以内に審査を終えてほしい」という声が多く寄せられました。これらの意見は、制度の改善を急ぐ必要性を裏付けています。
受け止めるべき現実
今回のアンケート結果は、単なる数字ではなく、個々の被害者が直面している深刻な現実を浮き彫りにしました。療治を待つ間に症状が悪化した方々がいることは、国が救済すべき立場にある人々が制度の遅延によって追い込まれている現実を示しています。これは、制度が本来の役割を果たしていないことを意味しており、我々はこの状況を深刻に受け止める必要があります。
国に求める具体的措置
弁護士法人AdIre法律事務所としては、国に対し以下の措置を求めます:
1. 審査期間の短縮(目安として遅くとも1年以内)
2. 審査担当人員の増員や体制強化による審査の迅速化
3. 審査工程の透明性を確保し、現在の遅延理由を明確にすること
被害者の命と生活を守るためには、制度の運用改善が急務であり、いかなる遅れも許されません。
結論と今後の展望
B型肝炎給付金制度は、過去の施策により被害を受けた方々への国家の責任を果たすために設けられたものであり、その遅延が生活や健康に深刻な影響を及ぼすことは決して看過できません。国に対し、早急な対応を強く求めるとともに、被害者の声を社会に届けるため、今後もさらに注力していく所存です。国内におけるB型肝炎に影響を受けた人々が、一日でも早く安心した生活を手に入れられることを願っています。
— 鈴木淳巳, 弁護士法人AdIre法律事務所代表
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