商船三井が展開する新技術満載の液化エタン船事業
商船三井グループのMOL ENERGIA PTE. LTD.(マネージング・ダイレクター:小倉 美樹)は、タイの総合石油化学企業であるサイアム・セメント・グループの完全子会社、SCGケミカルズ社との間で、長期用船契約を締結しました。これは2025年の契約に続く形で、さらに2隻の液化エタン専用船(VLEC)が新造されることになり、合計5隻の契約となります。
VLECの特徴と建造計画
新たに建造される2隻は、2028年に完成予定で、既存の3隻と同じく、韓国の三星重工業によって建造されます。これらの船は、積載能力が約10万立方メートルで、エタンの液化輸送を行います。特筆すべきは、二元燃料用推進機関を搭載している点であり、これにより環境への影響を最小限に抑えることができます。具体的には、温室効果ガスや硫黄酸化物、窒素酸化物の排出を大幅に削減する仕様となっているのです。
この契約によって、SCGケミカルズ向けには5隻全てが商船三井グループによって運航され、ベトナムにある同社の石化プラントに必要なエタンの輸送を効率よく行うことが可能になります。これにより、ベトナムの石化産業の競争力が一層強化されることが期待されています。
持続可能なビジネスモデルの展開
商船三井グループは、エタン輸送の需要が今後ますます増加すると予測されており、そのニーズに応えるために、これまでのLNG輸送などで培った高度な安全運航管理体制を活かして、安全で確実な海上輸送サービスを提供していく方針です。また、グローバルなネットワークを活用し、グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」に則った持続可能なビジネスモデルを展開し、業界での競争力を高めていくことで、地域社会への貢献を目指しています。
SCGケミカルズ社の役割
SCGケミカルズ社は、1983年に設立されたタイの最大級の総合石油化学企業で、東南アジアにおける産業コングロマリットの中心的存在です。オレフィンの生産から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど様々な石油化学製品を提供しており、ASEAN地域における重要な統合化学企業としての地位を確立しています。商船三井との協業により、同社はさらなる成長を遂げることが見込まれます。
商船三井は、今後もエタン輸送の重要性を認識し、そのニーズに応じた技術革新を行い、持続可能な海上輸送を推進していくことで、地域経済の発展と環境保護の両立を目指していきます。