姫路市に生成AIを活用した新しい福祉相談窓口が登場
兵庫県姫路市では、2025年12月1日から新たに生成AI技術を取り入れた『福祉つながる相談窓口』の本格運用が開始されます。これは、関西初の試みで、特に若い世代の悩みを効率的に受け止めることを目的としています。最近の実証実験では、521件の相談が寄せられ、特に10代から30代の若者が過半数を占める結果が出ました。これまで相談窓口にアクセスしづらかった層へのアプローチができることが、今回の取り組みの大きな成果といえます。
重層的支援体制整備事業とは
この相談窓口は、令和3年4月に施行された社会福祉法の改正に伴い始まった『重層的支援体制整備事業』の一環です。この制度は、8050問題やダブルケア、ひきこもりといった複雑な支援ニーズに応じた多様なサポートを提供することを目的にしています。姫路市では、介護や子育て、障害者支援などを超えた包括的な支援が求められています。
専門的な支援を目指す
実証実験では、実際に傾聴AIが市民と対話した時間は192時間に及び、結果としてユーザー満足度は70%を記録。リピート率も24%と、相談者からの期待に応える結果が見られました。特に印象的なのは、これまで相談窓口に接点が少なかった20代や30代のユーザー層にまでリーチできた点です。この取り組みは、姫路市が抱える問題の解決に向けた先駆的なアプローチといえるでしょう。
課題解決へのアプローチ
姫路市で実施されたアンケートによれば、市民の約3割が「問題を抱えているが、相談できていない」と回答しています。特に、既存の『福祉つながる窓口』には相談者の中心が40代以上に偏っており、若年層に対するニーズを十分に充たせていませんでした。そのため、新たに導入されるAI技術は、時間や場所を問わず、利用者が気軽に相談できる環境を整えるための重要な手段となります。
具体的な相談の流れ
この相談窓口は、年中無休で24時間利用が可能です。専門家による監修のもと、共感的な傾聴を行うために設計された対話システムを活用し、相談者に寄り添った応答を提供します。具体的には、相談内容に応じた適切な支援機関へと繋ぐ機能も備えており、ユーザーのニーズに合わせたサポートを実現します。
グラウンドブレイキングな試みに期待
姫路市は今後、この相談窓口のデータを分析することにより、市民の潜在的なニーズをさらに明らかにしていくでしょう。これにより、重層的支援体制の充実が期待され、最終的にはより多くの市民が必要とする支援を受けられるような社会が実現されることが目指されています。
株式会社ZIAIの役割
この取り組みを実現させたのは、株式会社ZIAIというヘルスケアスタートアップです。彼らは、メンタルヘルス問題の解決に向けて、傾聴AIの開発に取り組んでいます。ZIAIの目指すところは、2030年までに誰もがいつでもどこでも悩みを相談できる環境の確立です。公式ウェブサイトでは、さらなる情報が提供されているため、興味のある方はぜひ訪れてみてください。
この新たな福祉相談窓口の開設は、これまで相談しづらかった層へのアプローチを強化し、姫路市全体の福祉向上に寄与するものと期待されています。