インド仏教復興の旗手、佐々井秀嶺師の半生
2025年12月5日、株式会社サンガ新社から、佐々井秀嶺師の初の単行本『闘う菩薩道:我が使命いまだ尽きず』が刊行されました。この本は、半世紀以上にわたりカースト差別と闘い、インドにおける仏教復興の象徴となっている日本人の歩みが記されています。
佐々井秀嶺師の背景
佐々井秀嶺(ささい・しゅうれい)師は1935年に岡山県で生まれました。1967年、彼はインドに渡り、B.R.アンベードカル博士が興したインド仏教復興運動へ身を投じました。彼は数十万人もの不可触民たちと共に仏教徒の生活向上に尽力し、日々の活動を続けています。インド国籍を取得し、仏教徒の社会的地位の向上を目指し続ける彼の姿勢は、今なお多くの人に感動を与えています。
インドのカースト制度とは
カースト制度は紀元前16世紀頃にさかのぼり、アーリア人の侵入によって確立されました。ヒンドゥー教に根ざしたこの制度は、社会の様々な側面で差別の対象となっています。特に不可触民(ダリト)は異常なほどの差別を受け、今もなお全人口の約16.6%を占める約2億人が苦しんでいます。1950年に制定されたインド共和国憲法にもかかわらず、彼らの苦境は続いているのです。
佐々井師の活動
佐々井秀嶺師は、アンベードカルが提唱した大改宗式を引き継ぎ、不可触民解放のために仏教復興に力を入れています。師は2003年から2006年まで、インド政府のマイノリティコミッションの仏教代表を務め、政策的な活動へも範囲を広げました。特に2004年には、フジテレビのドキュメンタリー『男一代菩薩道』に出演し、その活動が広く知られるようになりました。この番組は、佐々井師が大勢のインド人を前に仏教の教えを広める姿を映し出し、多くの視聴者に衝撃を与えました。
新刊『闘う菩薩道』の内容
新しい著書『闘う菩薩道』では、佐々井師がどのようにして仏教と出会い、インドに渡り、厳しい状況にも関わらず、仏教からの解放を目指したのかが赤裸々に語られています。この本には、彼の生い立ちから青年時代の苦悩、そして仏教との運命的な出会いが詳細に描かれており、インドの社会的現実を垣間見ることができます。
この本は、仏教が持つ平等の価値が現代においてどのように生かされ得るかという重要な視点を提供しています。また、各お寺の紹介が載った日本地図もあり、日本とインドのつながりを再確認させてくれる内容となっています。
まとめ
佐々井秀嶺師は、仏教復興の先頭に立つ偉大な人です。彼の半生は、私たちに対して平等の重要性を教えてくれ、お互いの理解と尊重の価値を強く訴えています。『闘う菩薩道』という本は、彼の生き様を通じ、現在の仏教が持つ可能性を再考させる一冊です。ぜひ手に取って、彼の軌跡を感じてみてください。