デジタル時代の進化:2025年の崖を乗り越えるための取り組みとは
はじめに
近年、大企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を強く認識し、対応策を模索しています。その中でも、経済産業省が2018年に発表した「2025年の崖」と呼ばれる概念が大きな注目を集めています。この言葉は、レガシーシステムの刷新が進まないことにより、2025年から2030年にかけて日本経済が被る可能性のある巨額の損失を指します。
最近実施された調査では、大企業のDX推進担当者111名に対して、2025年の崖に対する対応やDX推進の現状、今後の展望について質問が行われました。今回はその調査結果をもとに、企業が抱える課題や今後の取り組みについて詳しく解説します。
大企業のDXへの関心
調査によると、80%以上の大企業がデジタル技術の活用に前向きであり、特に43.3%が積極的に推進していると答えています。しかし、企業文化や風土を変革し、競争力を向上させていると感じているのはわずか36.1%にとどまっています。つまり、多くの企業がデジタル技術への意識は高まりつつあるものの、実際に企業全体での変革には至っていないのが現状のようです。
レガシーシステムの移行状況
特に注目すべきは、レガシーシステムの移行状況です。「完全移行済み」と答えた企業はわずか25.3%であり、約5社に1社しか移行できていないのが事実です。多くの企業が依然として旧来のシステムを使用しているため、業務のデジタル化や効率化が妨げられています。
DX推進のための取り組み
デジタル人材の採用・育成という観点から見てみると、55.0%の企業がこれを今後強化したい取り組みの第1位に挙げています。続いて、業務プロセスのデジタル化・標準化が54.1%、AI活用の全社展開が50.5%という結果が出ました。これらの数値からも、企業が人材の育成に注力し、DXを進める姿勢が見受けられます。
さらに、企業は「デジタル人材の育成」を56.8%、そして「データ活用基盤の整備」を55.0%の割合で取り組んでおり、これらは「2025年の崖」への対応策として着実に取り組まれていることが示されています。しかし、実際にこれらの取り組みが完了しているかというと、「データ活用基盤の整備」が41.1%に留まっており、十分とは言えません。
課題とは何か
レガシーシステムからの脱却を図るためには、数々の課題を乗り越えないといけません。調査によると、多くの企業が「システム間連携の複雑さ」を最も大きな問題点として挙げています。また、現場の理解と協力の必要性、移行コストの負担、及びデータ移行の難しさも共通の課題として浮かび上がっています。
特に、システム間の連携が複雑であることが、スムーズな移行を妨げる要因の一つと指摘されています。旧来のアナログな業務プロセスからデジタル化された新しいプロセスへの移行は、企業の競争力を高めるためには避けられるべき課題なのです。
まとめ
調査結果から、企業は「2025年の崖」を乗り越えるためにデジタル人材の育成やデータ活用基盤の整備に注力していることが分かりました。しかし、レガシーシステムの移行率がまだ低く、システム間連携の複雑さも大きな課題です。今後は、さらに包括的なDX戦略を構築し、業務のデジタル化を促進しながら、企業の持続可能な成長を図ることが求められます。目指すべきは、システム連携を柔軟にし、業務の効率化やデータ活用をしっかりと進めることです。
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