QNX、組み込みソフトウェア開発を変革するHypervisor 8.0を発表

革新をもたらすQNX Hypervisor 8.0の登場



2025年5月28日、カナダ・ウォータールーに本拠を構えるBlackBerry LimitedのQNX部門から、新たな組み込み向け仮想化ソリューション「QNX Hypervisor 8.0」が発表されました。この新製品は、組み込みソフトウェア開発を一新し、プロジェクトの合理化と加速を目指しています。

QNX Hypervisor 8.0の特徴



QNX Hypervisor 8.0は、最先端のQNX®ソフトウェア開発プラットフォーム(SDP)8.0を基盤としており、複雑なソフトウェアプロジェクトに必要な機能をすべて備えています。特に注目すべきは、マイクロカーネルアーキテクチャによって、Android、Linux、そしてQNXといった複数のオペレーティングシステムが同一のシステムオンチップ(SoC)上で動作できる点です。

この技術により、仮想メモリ、CPU、割り込みコントローラー、デバイス、準仮想化デバイスなどの包括的な仮想化ソリューションが提供され、重要なシステムの隔離と保護が実現されます。

自動車業界への影響



TechInsights社のIan Riches氏は、「2030年には生産される自動車の90%が、ドメインコントローラーやHPCを導入する」と予測しています。こうした変革において、QNX Hypervisor 8.0のモジュール設計は非常に重要な役割を果たします。これは、ソフトウェア定義型自動車(SDV)開発における基盤となります。これにより、開発者は多様なアプリケーションを同時に構築・管理することが可能になり、効率的に作業を進めることができるのです。

ソフトウェア定義型アーキテクチャの中心



QNXの最高執行責任者であるJohn Wall氏は、「次世代の車載システムとIoTシステムにおいて、ソフトウェア定義型アーキテクチャとデジタルツインは中心的な存在になる」と述べます。QNX Hypervisor 8.0は、仮想マシンの管理機能をマイクロカーネルに追加することで、信頼性とパフォーマンスの向上を実現。これにより、開発者はミックスドクリティカルアプリケーションを短時間で構築することが可能になります。これは、車載やIoTシステムの効率的な拡張にも寄与するのです。

開発者に優しい環境



QNX Hypervisor 8.0は、タイプ1ハイパーバイザーのハードウェアへの直接アクセスや効率性を維持しながら、タイプ2ハイパーバイザーの柔軟性をも兼ね備えています。これにより、開発者とインテグレーターにとって利便性の高い開発環境が実現されます。開発者ガイドやAPIリファレンス、さらには仮想デバイスのソースコードサンプルが同梱されており、顧客企業はこれを基に独自の仮想デバイスを設計・開発することができます。

広範な導入実績



QNX Hypervisorは、すでに数千万台の自動車に採用されています。OEM各社がSDVへの移行を進める中、Hypervisor 8.0はQNX SDP 8.0の利点を生かし、新たな自動車技術の推進を図ります。非常に高いスループットと拡張性を持つこの技術は、業界のニーズに応えるべく日々進化しています。

QNXは、トヨタ、ホンダ、BMW、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといった世界の主要なOEMメーカーから信頼を受けており、安全性とイノベーションの追求を通じて、組み込みテクノロジーの未来を切り開いています。

まとめ



QNX Hypervisor 8.0の登場により、組み込みソフトウェア開発の風景は大きく変わることでしょう。安全性と信頼性を兼ね備えたこの新しいプラットフォームが、テクノロジー主導の未来を支えていくことが期待されます。詳細や最新情報は、QNX公式サイトを訪れるか、Twitterで@QNX Newsをフォローしてください。

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