はじめに
最近のビジネスシーンにおいて、AIによる業務効率化が進み、多くの企業がその恩恵を受けています。しかし、リクエスト株式会社の調査によると、AIを活用することで業務は迅速化したにも関わらず、現場の繁忙さは解消されず、新規事業へ人材を移すことが難しい現実が浮かび上がっています。
本稿では、リクエスト株式会社が発表した7つの図解と9問のセルフチェックをもとに、AI導入後の企業内での人材移動の課題とその解決策について考察します。
業務のスピード向上と人材移動の障害
AIの導入により、業務の一つひとつは確実に速くなり、以前は手をつけられなかった分析や改善に取り組む機会が増えました。具体的には、顧客対応や品質向上への時間を割けるようになりました。それでも、現場からは「余裕ができた」という声が上がらないのです。なぜでしょうか?
調査の結果からわかるのは、以下のような現象です。
- - 優秀な社員ほど、既存業務から外すことが難しい。
- - 現在の業務に必要な責任が依然として残っている。
- - 組織の評価基準や目的が変更されない限り、社員は余力を新たな業務へとシフトすることができません。
作業余力と戦略余力の違い
リクエスト株式会社では、効率化によって生じた「余力」を「作業余力」と定義しています。一方、「戦略余力」はその余力を新しい事業や目的に移行できる状態を指します。つまり、時間が生まれたからといって、それが自動的に新規事業への人材移動に繋がるわけではないのです。
作業余力はあくまで個人の作業時間が短くなった状態ですが、戦略余力はそれを組織全体としてどう使うかによって変わります。
AIを導入しても変わらない現状
たとえAIによって作業余力が生まれても、目的や責任が変わらなければ、余力は現在の業務に戻るのが常です。これは、組織全体が新たな目的を持ち、その実現のために社員を送り出す必要があることを意味しています。
特に、「新規事業をつくる」という方針だけではなく、具体的にその事業が誰のどの状態を変えるのか、何を問題にするのかを明確にしなければなりません。
目的を形成する仕事の重要性
AIの進化と共に求められるのは、「改善」と「目的を形成する仕事」を分けることです。新規事業の入口には、何を目的とするのかを明確にする「仕事」が必須です。ここで進められるクリエイティブな思考が、新たな価値の創造につながります。
セルフチェックによる現状把握
リクエスト株式会社では、組織の現状を把握するために約3分で行う9問のセルフチェックを提案しています。このチェックを通じて、経営層と現場社員との意識の差を明らかにし、具体的な改善点を見つける手助けをします。
結論
AIの導入が進んでも、組織の目的や評価基準を変えなければ、余力が活用されることはありません。新たな目的を形成し、それに向かって個人が動けるようにするためには、組織全体が協力して取り組む必要があります。リクエスト株式会社の調査は、企業が抱えるこの課題に対する重要な示唆を与えてくれます。