近年の異常気象や毎年の猛暑に伴い、熱中症のリスクが高まっています。そこで、ヤマト運輸株式会社は、従業員の安全な働き方を支援するため、熱中症対策を強化することを決定しました。この対策は、「ファン付きベスト」の導入拡大、全事業所におけるWBGT(暑さ指数)測定器の設置、そして新たにウェアラブルデバイスの実証実験を通じて行われます。これにより、従業員が快適に、そして安全に働ける環境を整えていきます。
ファン付きベストの導入拡大
ヤマト運輸は2021年度から、セールスドライバーを対象に約6,500着のファン付きベストを導入し、熱中症の対策の効果を検証してきました。2025年6月より、トラックで集配業務を行うセールスドライバーに対しても新たにファン付きベストを貸与することで、さらにその数を約75,000着に増やす計画が進行中です。このベストは、作業中に運転を妨げないように工夫されており、ファンの取り付け部を背面から側面にずらしています。
WBGT測定器の設置
また、ヤマト運輸は全国の営業所や関連拠点に約3,000台のWBGT測定器を設置し、各事業所での作業環境を正確に把握できる体制を整えます。これは、環境省が発表するWBGT値をもとに、これまでの給水・冷房の注意喚起だけでなく、場所ごとに最適な対策を迅速に講じるためのものです。この取り組みにより、お客様に提供するサービスの質も向上させ、従業員の健康維持に寄与することを目指しています。
ウェアラブルデバイスの実証
さらに、手首に装着するタイプのウェアラブルデバイスも導入され、体内の温度変化を感知できる技術が実証されます。このガジェットは、熱中症の初期症状に気づくことを助けるもので、異常を感じた際には音や光、振動で通知します。セールスドライバーや作業職の社員に貸与され、効果が検証される予定です。これにより、症状の放置や対応の遅れが防止されることが期待されています。
導入の背景
現在の日本は記録的な猛暑を迎えており、労働安全衛生規則が改正され、熱中症対策の義務化が進行しています。このような背景の中、ヤマト運輸は従業員の健康を第一に考え、これまでにも多様な熱中症対策を講じてきました。ガイドラインやマニュアルを整備し、冷風機やスポットクーラーの設置、飲み物の提供といった取り組みも行っています。この新たな試みは、将来的に従業員が安心して働ける職場環境を実現するための大きな一歩です。
ヤマト運輸の熱中症対策への真摯な取り組みは、職場の安全性を高めると共に、従業員が安心して業務に取り組める環境づくりに貢献しています。これからの取り組みにも注目が集まります。