鈴鹿サーキットに導入されたAIが変える顧客サービスの未来
鈴鹿サーキットがこのたび、株式会社IVRyが提供する対話型音声AI「アイブリー」を導入した。この採用により、電話対応の約45%が自動化され、顧客対応の効率や質の向上が期待されている。さまざまな分野に対応する鈴鹿サーキットならではの施策として、より良い顧客体験を実現する取り組みが進められている。
背景と課題
鈴鹿サーキットでは、多様なサービスを提供しているため、月に数千件にも及ぶ問い合わせが集約されている。その内容は、モータースポーツからアミューズメント、リゾート、交通教育まで多岐にわたり、多様性に満ちている。しかし、すべての問い合わせを一つの窓口で対応するのは困難であり、専門的な知識が必要とされるため、スタッフに大きな負担を与えていた。特に、夜間業務では、代表電話をホテルに転送していたものの、専門外の質問には適切に回答することができないという問題が生じていた。
さらに、F1などの大規模イベント時には、着信数が急増し、単純に人員を増やすだけでは対応限界が見えてきていた。このような背景から、鈴鹿サーキットは「アイブリー」の導入を決定し、顧客が求める高い満足度を実現することを目指した。
アプローチと効果
「アイブリー」の導入によって、鈴鹿サーキットのオペレーションは劇的に改善された。自動振り分け機能により、受電業務の約45%が自動化され、これまで電話応対に多くの時間を費やしていたスタッフがより創造的な業務にシフトできるようになった。これにより、顧客満足度を高める取り組みや営業活動に注力できる環境が整った。同時に、スタッフの働きがいも向上し、より効率的な組織づくりが実現された。
また、特に重要なのが、F1チケット発売日やレースの開催時における柔軟な運用ができるようになった点だ。スタッフが即座に応答設定を変更できるようになり、状況に応じた最適な顧客接点を維持し続けることが可能になった。これにより、夜間の多言語対応も強化され、問い合わせをSMSで適切に誘導することで、顧客体験が飛躍的に向上した。
顧客の声はデータとして資産化され、月間数千件の着信データが可視化された。これにより、実際の対応の振り返りやサービス改善のためのデータ解析が容易になる。スタッフは主観に依存せずに、データに基づいた判断を行い、顧客満足度(CS)向上サイクルの構築が始まった。
さらに、通話開始時の録音アナウンスがカスタマーハラスメントの抑止力となり、スタッフがストレスを感じるような場面を大幅に減少させることができた。これにより、職場環境が改善され、スタッフが安心して業務を遂行できる環境が整った。
今後の展望
鈴鹿サーキットは、蓄積された顧客接点データの本格的な活用を次の目標として掲げている。データを解析することで着信傾向の把握や振り分けルールの最適化が可能となり、さらなる顧客満足度向上を図る。そして、これらの取り組みを全社的に展開することを視野に入れ、他部門との連携を強化し、AIを活用して人がもっと価値の高い体験を提供できるよう働きかけていく。
「アイブリー」の導入は、鈴鹿サーキットにとって単なる技術導入に留まらず、顧客に「感動体験」を提供するための大きなステップとなっている。今後もテクノロジーと人間の最適なバランスを追求し続け、鈴鹿サーキットならではの価値を提供していくことが期待される。