藤沢市が行政経営DXを進める新たな取り組み「.Gov」とは

神奈川県藤沢市が、株式会社プレイドの起業組織であるSTUDIO ZERO（スタジオゼロ）による伴走型行政経営DXサービス「.Gov（ドットガブ）」を導入し、画期的な変革を遂げようとしています。この取り組みは、市民サービスの向上に向けて具体的な課題を明らかにし、それに基づいた市役所のホームページリニューアルを目指すものです。

「.Gov」の基本理念と背景

「.Gov」は、元行政職員やビジネス分野の専門家が集結したチームによって運営され、行政や民間ビジネスにおける豊富な知見を活かして市民体験を重視したデジタル化に挑戦しています。藤沢市では、公式ホームページに対する市民からのフィードバックが多く寄せられていましたが、何が具体的に問題であるかを把握できていませんでした。これが、リニューアル計画の方向性を決定する際の課題となっていました。

増渕典勝氏（藤沢市デジタル推進室）は、「市民の声を直視することができるのではないだろうか」との思いでスタジオゼロと手を組むことを決断します。彼らは、市民のニーズを具体的に見える形にするための分析を求めていました。

「民の力」を活用する姿勢

藤沢市が「.Gov」の導入を決めた背景には、KARTEを活用して訪問者のニーズを数値化し、その結果を元に改善策を一貫して提示できる点がありました。これにより、藤沢市民の生活がより向上する可能性を強く感じたとのことです。また、スタジオゼロが「民の力」を重視し、市民生活を豊かにする熱意にも魅力を感じたといいます。

増渕氏は、市民の声を反映させるために、定期的なミーティングを通じて協力関係を築くことで、「1+1以上の価値」が生まれていると実感しています。これにより、民間知見を生かした具体的な解決案が見えてきたのです。

調査結果による具体的な課題の可視化

スタジオゼロが実施した調査は、従来の「無作為抽出」に基づくものではありませんでした。実際に市のホームページを訪れた市民の声を聞き、これまで把握されていなかった具体的なニーズが明らかになりました。特に、NPS（ネット・プロモーター・スコア）による評価は、女性の満足度が極めて低く、特に子育て世代において顕著な差が見られました。これに基づき、ホームページの使い勝手や情報提供の改善が求められていることが浮き彫りになったのです。

調査から分かったポイントは次の通りです。

- ホームページ訪問者の約25%が目的のページに到達できていない
- スマートフォンユーザーのNPSはPCユーザーに比べ3.8pt低い
- 情報を調べる目的で訪問したユーザーのロイヤリティが低い

増渕氏は、これまで「モヤっと」した印象であった課題が具体的に理解できるようになり、組織全体でその課題を共有できるようになったと語ります。これにより、今後のホームページリニューアルに向けた計画も大きく前進しました。

リニューアル後の評価と未来の展望

今回のリニューアルでは、スマートフォンに最適化されたデザインを導入し、AIを活用した検索機能の向上も図られました。これらの取り組みは市民からも好評で、「シンプルさが増した」「魅力的な動画が追加された」との評価が寄せられています。

藤沢市は、リニューアル後も「より良いウェブサイトにするために市民の声を聞かせてください」と常に改善意欲を持って取り組んでいる姿勢を示しています。今後も「民の力」を最大限に活用しながら魅力ある街づくりを目指す計画が続いていくことが期待されます。

藤沢市の進化がどのような成果をもたらすか、これからが非常に楽しみです。ちなみに「.Gov」は、他の自治体でも導入可能なサービスであり、デジタル化を進めたい方々にぜひ注目してほしい取り組みです。