甲府東高での特別授業の魅力
2025年11月26日、山梨県立甲府東高等学校では、若手県職員が主体となった特別授業「水素×メディアリテラシー」が開かれました。この授業は、先日行われたメディアリテラシー研修を受けた職員が自身の学びを活かし、母校に戻って後輩たちに知識を伝える機会として企画されたものです。
この日の講師は、県庁でクリーンエネルギー政策を担当する宮坂氏。彼は甲府東高の卒業生でもあり、母校での教壇に立つことに特別な思いを込めました。授業内容は、水素エネルギーの重要性とその利用方法を軸に展開されました。
実施された背景と目的
地方自治体における職員の能力開発は急務であるとされています。その中でも本プロジェクトは、職員が研修で得た知見を地域の若者に直接伝えるというユニークなアプローチを採用しています。
職員が実際に授業を行うことで、地域への誇りを育みながら知識の定着を図ることが目的です。宮坂氏は「自分の業務における情報の偏りや、過去の先例に縛られる自分」に気づくことができ、物事の本質を問う力の重要性を感じました。その思いを後輩たちに伝えたいとの強い意志が、今回の授業の原点となっています。
授業の様子と生徒の反応
それでは、授業の具体的な内容とその反応を見てみましょう。授業は90分という限られた時間の中で行われましたが、宮坂氏は非常に工夫を凝らしたアプローチで生徒たちの興味を引きました。前半では、YouTubeのアルゴリズムについて実際の使用例を挙げ、メディアリテラシーについて解説。生徒たちは興味深く聞き入っており、時折頷きながら、その内容に集中していました。
彼が強調した「情報の裏側を読み解く力」は、デジタルネイティブな生徒たちにとって新鮮で興味深いものでした。
後半に入ると、水素エネルギーの重要性について本格的に議論が始まりました。しかし、専門用語が飛び交うと生徒たちの反応が鈍くなり、宮坂氏はその変化に気づきます。このことをネガティブなものとして受け止めるのではなく、どうすれば伝わるのかを再考するチャンスと捉え、「相手の関心に合わせて言葉を翻訳し、その内容を届ける工夫が行政職員にとっては特に重要だ」と気づいたのです。
この経験を通じて、机上の研修だけでは得られない、実践的なコミュニケーションの重要性を心から感じることができました。
生徒たちの「考える力」
授業の終わりには、生徒たちに「水素社会実現のための課題」に対する問いを投げかけました。宮坂氏は、生徒たちが学んだ思考法を活かしている姿を見ることができ、彼らが大人たちの期待を超えていく様子を目の当たりにしました。これにより、「考える力」を身につけた若者たちが自ら解決策を導き出す力を証明した瞬間でした。
講師のメッセージと今後の展望
授業の後、宮坂氏は「自分で考える力を持てることが、未来を切り開く鍵です。また、今回の授業が私自身にとっても『伝えることの難しさと面白さ』を教えてくれました」と語りました。そして、自身が母校で育てられたように、これからも多くの職員が母校で授業を行い、若者たちに影響を与えていきたいという熱意を持っています。
本プロジェクトは甲府東高校を皮切りに、来年以降も県内6校で実施される予定です。持続可能な社会を目指し、山梨県と株式会社イマジナは新しい教育プラットフォームの構築に向けて共に歩んでいきます。