化石燃料ファイナンス報告書2026が未来を見据える警鐘を鳴らす
2023年10月9日、米国の環境NGOであるレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)が新たな報告書『化石燃料ファイナンス報告書2026』を発表しました。この報告書は、世界の主要な65行の銀行が、約2,900社に対してどのように化石燃料産業に資金を提供しているのかを分析しています。報告書によると、2025年における化石燃料産業への銀行の資金提供額は、前年から8%増加し9,060億ドルに達しました。この数字は、パリ協定の発効以来、石油、ガス、石炭関連企業に対する累計資金提供額がなんと8.7兆ドルに達していることを意味します。
銀行の化石燃料資金提供の実態
分析結果の中でも特に目を引くのは、JPモルガン・チェースが再び世界最大の化石燃料資金提供者として名を馳せていることです。2025年には580億ドルを提供し、前年から12.6%も増加。次いでバンク・オブ・アメリカと、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループがそれぞれ470億ドルで続きます。この3行に共通するのは、化石燃料業界に対する資金供給の拡大傾向です。
日本のメガバンクに視点を移すと、MUFGが3位、みずほが4位、SMBCが9位と、いずれもワースト12行にランクインしています。これらの銀行が提供した合計額は1,250億ドルで、全体の13.7%を占めています。特に、みずほの化石燃料拡大企業への資金提供は急増しており、世界で2位となっています。
化石燃料への依存が生む構造的不安定
本報告書はまた、2020年代のエネルギー危機と相まって、化石燃料への依存がいかに世界的な不安定さをもたらしているかを強く指摘しています。供給が途絶えるたびに、その代償を支払わされているのは、化石燃料を輸入している国々の人々です。実際、米国の銀行は世界全体の32%の資金提供を占めており、これがさらなる懸念を引き起こしています。
中流部門の拡大とその影響
この報告書では、化石燃料市場における中流部門、特に液化天然ガス(LNG)分野が急成長を見せていることも明らかにしています。2025年において中流部門への資金提供は、前年比で184%増加し1,160億ドルに達しました。このデータは、特にLNG企業が地政学的な状況を利用して利益を得ている実態があることも示しています。このような状況は、持続可能なエネルギー政策に反するものであり、今後の気候変動対策における銀行の役割が問われることになるでしょう。
銀行の投資責任と社会への影響
RANのニコ・ルシアニは、「銀行の最大の関心は利益の確保であり、私たちの最大の関心は気候変動や人権の保護である」と述べ、銀行による自発的な資金提供の停止が見込まれないことを強調しています。同様に、麻生里衣氏も日本の銀行が気候変動の影響に苦しむ世界中の人々に対して背を向けていると指摘し、事態の深刻さが増していることを警告しています。
結論:今こそ行動を
報告書が警鐘を鳴らしている中、気候変動への対応を急がなければならない時期に来ていることが明確です。銀行の持続可能な資金の流れを実現するためには、国際的な投資家や市民社会が連携し、強力な圧力をかけ続ける必要があります。この報告書は、その出発点となるものであり、我々は気候危機に対してより一層の関心を持つべきです。