新入社員のキャリア志向が変化する2025年の実態とは

企業における人材育成が今、一段と注目を集めています。特に2025年度に入社予定の新入社員に関する調査結果が発表され、彼らのキャリアに対する意識や期待する役割の変化が浮き彫りになりました。本記事では、調査の結果を詳しく見ていきます。

調査の背景

近年、多様化する働き方の中で、企業は社員のキャリア自律を重視する傾向にあります。その影響で、新入社員にも彼ら自身のキャリアについて考えることが奨励されており、今後どのような役割を担いたいのか、具体的に把握することが求められています。今回は、2025年度に入社する新入社員3,933人を対象に行われた意識調査の結果を元に、彼らのキャリア志向の変化を探ります。

キャリア志向の多様性

調査の結果、新入社員が将来会社で担いたい役割は「専門家」「管理職」「未定」「キャリア志向なし」がほぼ同率で見られました。さらに、「キャリア志向なし」は23.3%に達し、過去最高値を記録しています。特に「楽しく仕事をしていたい」という回答が多く、これは11年前の調査結果と比べても明らかに増加しています。

一方で、専門家としての道を進みたいと考える若者もいますが、その割合は11年前よりも低下しており、9.4ポイント減少しました。このことは、将来の不確実性を背景に、明確なキャリアビジョンを持つことに対する不安を反映している可能性があります。

管理職を目指す理由

今後、リーダーとして管理職を目指す理由の中で最も多かったのは「人を束ねて大きな仕事をしたいから」で、36.6%がこの理由を挙げました。また、仲間と仕事をすることが好きという意見も34.6%に上り、増加傾向にあります。一方、経営層として会社を牽引したいという意欲は11年前と比べて減少しており、21.8%という結果でした。このことから、仲間との連携や楽しさを重視する姿勢が強まっていることがうかがえます。

専門性を重視する傾向

専門家としてのキャリアを志向する理由の一つは「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたい」という声が55.2%で最も多く、専門性を重視する姿勢が見られました。また、専門性の追求に対する意欲が増加傾向にあることも調査から明らかになりました。

リーダーのイメージ

リーダーシップに対するイメージ調査では、「リーダーシップが求められそう」が51.5%を占め、成長ややりがいのある職務への期待が大きいことがわかります。ただし、リーダーになりたくないと回答した人たちは「難しそう」「ストレスが多そう」とネガティブなイメージを持っている傾向があり、正反対の意見が見られました。

会社への期待

新入社員が会社に期待するキャリア形成支援のトップは「上司に相談できる機会」でした。このことは、上司との関係を通じて、自らのキャリアを形成していくことを望む新入社員が多いことを示しています。社内でのサポートを求める若者たちの声に耳を傾け、適切な支援を行うことが企業にとっても重要な課題となるでしょう。

まとめ

今回の調査結果から、新入社員が抱えるキャリアの志向が過去と比べても多様化し、変化していることがわかりました。特に、キャリアの明確なビジョンを持つことが難しい環境において、彼らが求めるものは「楽しい職場での仕事」であることが明確です。企業は、この新たな傾向を理解し、柔軟に対応していくことが求められています。今後の人材育成においては、経験を通じて成長し、自分のキャリアを形成するためのサポートが必要です。新入社員が輝ける未来を作るために、企業側でも意識を高めていく必要があります。