安定した食材調達を目指す外食企業の新潮流
外食企業が直面している食材調達の課題は深刻です。円安、原材料価格高騰、海外事業者との競争が影響し、食材を市場から調達するだけでは、量や価格、品質を安定させることが難しくなっています。農林水産省もこの状況を受けて、国内の生産者との連携強化を図る方針を打ち出しています。
くら寿司をはじめとする外食企業は、こうした環境変化に対応するため、生産者や産地との協力を強化し、さらには「共に育てる」ための取り組みを行っています。これにより、調達の基盤を更に底上げし、「いつものおいしさ」を顧客へ提供することを目指しています。
食材調達の現在と課題
外食企業が直面している調達環境は、次の4つの主な課題に分かれます。
1.
コスト上昇: 円安や原材料価格の高騰によって、食材の仕入れ価格は上昇しています。
2.
供給の不安定化: 気候変動の影響で水産物や農産物の生産量が低下しています。
3.
買い付け競争: 世界中で日本食の人気が高まり、食材需要が増加。
4.
生産者の担い手不足: 高齢化が進行しており、農業や漁業での人手不足が深刻化しています。
2025年3月のデータによると、95%近くの飲食店が仕入れ価格の上昇に直面しており、企業からは「売上は悪くないが、原価や人件費の増加が問題」といった声が寄せられています。こういった中で、外食企業は選択の岐路に立たされています。
外食企業の新たな取り組み
安定した食材調達のために、外食企業は契約農家との連携、自社による農場運営、さらに養殖事業や一次産業への参入を進めています。ここでは、いくつかの成功事例を挙げて見ましょう。
- - サイゼリヤは、福島県に広大な農地を取得し、契約農家と連携してレタスの生産体制を構築しています。
- - モスフードサービスは、全国に数多くの農場を持ち、地域生産者と協力しながら安定的な生産を実現しています。
- - エー・ピーホールディングスは、地鶏生産から加工までを手がけるインテグレーションモデルを導入しています。
くら寿司の「KURAおさかなファーム」
くら寿司は、2010年から「天然魚プロジェクト」を通じ、120以上の漁協・漁港と直取引を行い、国内の水産業を支援しています。さらに、2021年には水産事業を強化するための「KURAおさかなファーム」を設立。ここでは、オーガニック養殖や、委託養殖の推進、及び卸売の強化を進めています。
自社養殖では、和歌山で約40基のいけすを運用し、高付加価値魚種の育成に取り組んでいます。また、
委託養殖においては、最新技術を活用し、AIによる給餌最適化なども行っており、持続可能な漁業モデルを構築しています。これによって、安定した供給が可能になり、新しい担い手も増えてきています。
将来への展望
「KURAおさかなファーム」は、2028年までに自店舗での魚種供給を大幅に増やす計画を立っています。安定した供給体制は、生産者にとっても理想的な環境を提供し、消費者には新鮮で高品質な魚を提供することに繋がります。「共存共栄」を目指したこのモデルが、国内外において新しい水産業のベンチマークになることが期待されています。くら寿司の事例から学べることは、外食産業が持続可能な方法で成長できる可能性があるということです。これからも、くら寿司はこうした取り組みを通じて、より良い食文化を実現していくでしょう。