新たな創薬の可能性を拓く!PROTACの効率的合成法が開発される
東京理科大学の研究グループによると、近年注目されている創薬技術の一環として、PROTAC(標的タンパク質分解誘導化合物)の効率的な合成手法が開発されました。この研究は、従来の複雑な合成プロセスを大幅に簡略化することができ、医薬品の開発に革新をもたらす可能性があります。
研究の背景
PROTACは次世代医薬品候補として、がんや神経疾患など様々な病気の治療において重要な役割を果たすことが期待されています。しかし、これまでのPROTACの合成プロセスは多段階であり、特に構造最適化が難しいとされていました。こうした課題を解決するため、東京理科大学の吉田優准教授を中心とするチームは、連続クリック反応を用いて新たな合成手法を開発しました。
研究の成果
研究グループは、複数の異なる反応部位を持つ三官能性プラットフォームを創製し、連続クリック反応によってPROTACを迅速かつ効率的に合成しました。この手法では、保護基を必要とせずに3種類の機能性分子を一つの分子上に集積することが可能です。実際に、EGFR(上皮成長因子受容体)リガンドと連結することで、EGFRを分解するPROTACの合成に成功しました。
具体的な合成プロセス
今回の研究では、まずVHL E3ユビキチンリガーゼリガンドであるVH032を、アルキン誘導体に変換します。そして、アジド基とのCuAAC反応を利用して、94%の収率でトリアゾール中間体を合成しました。この中間体を基に、フッ化スルホニル基とEGFRリガンドのヒドロキシ基とのSuFEx反応を行い、最終的にPROTACを合成します。
特に注目すべきは、これらの反応が保護基を必要とせずに進行し、必要な官能基を損なうことがなかった点です。また、プロセスに残されたアクリルアミド基に蛍光団を持つチオールを作用させ、Michael付加反応により蛍光標識したPROTACも合成することができました。
今後の展望
新たなモジュール集積型の合成法が確立されたことで、リガンド部位や物性の最適化が図りやすくなります。これにより、PROTACの探索や医薬品の迅速な開発が期待されるだけでなく、創薬研究全体の加速も見込まれています。吉田准教授も「本技術を活用することにより、医薬品などの効率的な開発が可能になる」とコメントしています。
この研究成果は、国際学術誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」に掲載される予定であり、今後の医薬品開発の指針となることが期待されています。
研究への支援
本研究は、日本学術振興会の科学研究費助成事業及び旭硝子財団からの支援を受けて実施されました。今後も、より革新的な研究が進められることを期待しています。