2025年第2四半期における東京リテール市場の動向と展望

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド（C&W）が最新のリテール市況レポートを発表しました。2025年第2四半期に焦点を当て、様々なデータから明らかになった経済情勢や賃料動向を報告します。特に、訪日外国人の消費行動や賃料の変遷について詳細に分析しています。

経済状況と消費動向

2025年第2四半期において、日本経済は小幅な落ち込みが予測されています。実質GDPは前期比で年率-0.4%の下落が見込まれています。これはサービス輸出の増加に対する在庫投資の減少が影響しています。また、コアCPIは過去のピークからわずかに低下したものの、依然+3.3%という高い水準を維持しています。

特に注目すべきは、訪日外国人の高額消費が減少している点です。中国からの観光客の支出は前年同期比で約30%の減少が見られ、この影響により全国小売販売高も実質的に微減しています。これは、円高や高額商品の値上げによる割安感の低下が主な要因とされています。

賃料の動向

2025年第2四半期のプライムエリアの賃料は横ばいの状況ですが、一部の新規開発案件では既存店舗の上限賃料を超える例も見受けられます。訪日外国人の高額商品消費の減少にかかわらず、ブランド認知を高めるために高額賃料を受け入れる海外ブランドも存在しています。特に、原宿などのプライムエリア周辺での新規店舗の出店が活発で、これがエリア全体の平均賃料を押し上げている状況です。

未来の展望

足元ではドル円相場が円安に振れているものの、訪日外国人の動向は今後1年にわたって不透明です。特に、中国経済の景気後退が懸念され、高額品の消費が減少するとの予想があります。しかし、プライムエリアについては依然として出店余地が限られており、新たな物件が竣工することで賃料は上昇すると考えられています。

さらに、名古屋の栄など、各地での再開発が期待されており、プライムエリアそのものが拡大する可能性もあります。