鉄道係員に対する暴力行為の現状
一般社団法人日本民営鉄道協会が発表した2024年度における鉄道係員への暴力行為の件数が報告されました。大手民鉄16社において、駅係員や乗務員に対する暴力事件が139件に達しました。これは昨年度に比べ5件の減少を示すものです。
この年間のデータでは、全体的に上期に78件、下期に61件と分かれており、興味深いことに上半期では昨年度比6件の増加が見られる一方、下半期では11件の減少がありました。このように、年度トータルでは減少傾向にあるものの、コロナ禍以降の高水準は依然として撞亘り続けています。
発生パターンと特徴
暴力行為が発生する主な状況としては、理由もなく突然襲われるケースや、迷惑行為に対する注意から生じることが多く、特に深夜の時間帯(22時以降)に多発しています。加害者は幅広い年齢層にわたり、酔っていることがしばしば観察されます。この問題を解決し、より安全で快適な鉄道利用を実現するために、協会では啓発ポスターの掲示などの様々な取り組みを続けています。
具体的な事件紹介
ここでは具体的な暴力行為の事例をいくつか取り上げます。
1.
月曜日の深夜 (22時~終電)
場所: ホーム
契機: 酩酊者への降車促進
年齢: 20代
飲酒: あり
駅係員が泥酔した乗客に降車を促した際、突然に暴力を振るわれ、首を掴まれた後、2度も投げ飛ばされて負傷しました。
2.
金曜日の深夜 (22時~終電)
場所: 改札
契機: 騒いでいた利用客への注意
年齢: 50代
飲酒: あり
駅係員が最終電車を逃した利用客を注意したところ、暴言と共に襲われ、負傷しました。
3.
火曜日の日中 (9時~17時)
場所: 車内
契機: 座席に座っていた乗客への確認
年齢: 40代
飲酒: あり
車掌が不正使用されていた座席の確認を行った際、逆ギレした乗客から押され、負傷する事例も報告されています。
4.
木曜日の深夜 (22時~終電)
場所: 改札
契機: 切符不所持の利用客への注意
年齢: 30代
飲酒: 不明
駅係員が切符を持たない利用客を注意したところ、逃げられ、殴られる結果に至りました。
結論と今後の取り組み
これらの事例からも明らかなように、鉄道係員への暴力行為は深刻な問題です。民営鉄道協会では、こうした暴力行為を減少させるために、引き続き現場での啓発活動を強化し、すべての利用者が安心して鉄道を利用できる環境づくりに努めていく方針です。
交通手段としての鉄道は私たちの生活に欠かせないものですが、それを支える係員への理解と尊重が必要です。暴力行為をなくすための取り組みと共に、社会全体で安全な環境作りを進めていきましょう。