タイヤリサイクル新技術
2025-12-04 14:25:30

用済みタイヤを資源に変える新技術が登場!環境に優しい未来へ

使用済みタイヤを新たな資源に変える技術



国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)は、株式会社ブリヂストンと共同で、使用済みタイヤを新たな資源へと生まれ変わらせる画期的な化学的リサイクル技術を開発しました。この技術は、使用済みタイヤに含まれる加硫ポリイソプレンゴムを室温で分解し、その後熱分解することにより、タイヤ原料を回収できるものです。

技術の背景と重要性


タイヤ産業は売上高約28兆円を誇る大規模な産業で、日本企業が多くのシェアを持っています。モビリティの多様化が進むなか、タイヤの需要も必然的に拡大することでしょう。しかし、現時点では多くの使用済みタイヤが燃料として焼却される「サーマルリカバリー」という手法で処理されています。さらにマテリアルとしてリトレッドされるケースもありますが、これらは持続可能性の観点から見ると限界があります。タイヤのリサイクルにおいて、使用済み素材を元の原料に戻す「ケミカルリサイクル」が求められています。

画期的な分解プロセス


産総研とブリヂストンが協力して開発したこのリサイクル技術は、まずタイヤゴムに触媒と溶媒を加え、室温近くで撹拌するだけで化学分解を進めます。これにより、架橋されたポリイソプレンゴムが液状ポリマーに変わり、固体成分のカーボンブラック(CB)と分離しやすくなります。化学分解の過程で、ポリイソプレンの分子鎖が縮まり、元々のイソプレン骨格を保持しつつ分解されます。それによって、得られる液状ポリマーは熱分解により、イソプレンモノマーを主成分とするタイヤ原料が回収できます。

この技術の開発にあたっては、硫黄成分が存在しても機能する高活性な触媒の探索が行われ、さらにメタセシス反応の利用に成功しました。この反応によって室温でも短時間で化学分解が進行することが明らかになりました。

環境への寄与


この新技術が実用化されれば、タイヤ産業における資源の循環利用が進むことが期待されています。温暖化や環境問題への意識が高まる中で、使用済みタイヤを資源として再活用することは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な取り組みとなります。今回の技術は、2040年に向けての持続可能な社会の実現に寄与するものです。

今後の展望


今後は、加硫ポリイソプレンゴム以外の素材にもこのメタセシス反応が適用されるかどうかの検討が続けられます。また、環状イソプレン4量体など未利用資源の用途開拓も進められる予定です。最終的には、2030年代に社会実装を目指し、さらなる研究と技術のスケールアップが行われるでしょう。

この技術の詳細は、2025年11月21日付の「ACS Catalysis」で発表されており、持続可能な未来に向けた新たな一歩とされています。ブリヂストンを始めとする企業がこの技術の実用化に取り組むことで、私たちの生活にも大きな影響を与えることでしょう。ぜひ、注目していきたい分野です。


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