エバーブルーテクノロジーズとナブテスコが手掛けた未来の海上モビリティ
最近、エバーブルーテクノロジーズ株式会社とナブテスコ株式会社が共同で進める研究プロジェクトにより、新たな帆船型ドローン「AST-201 spec1.4 with Windmill Sail」が発表されました。このプロトタイプは、次世代の風力推進システムを搭載しており、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となることが期待されています。
プロジェクトの概要
このドローンは全長1.4メートル、重さは14キロと比較的軽量で、ナブテスコ社が開発した「風車帆」を搭載しています。風車帆は、風の力で回転し、マグヌス効果を利用して推進力を生み出します。従来の帆に比べ小型でありながら高出力を実現しており、発電する機能も備えています。これにより、AST-201は風力を利用したゼロエミッション航行が可能になっています。
このドローンは、長時間にわたる海上調査や観測業務に適しており、遠隔操作だけでなく将来的には自動航行機能にも対応する予定です。国際海事機構が2050年までに目指しているGHG排出量ゼロを視野に入れたこの技術は、次世代の海上モビリティとして大変注目されています。
開発の背景と目指すもの
近年、船舶の脱炭素化が求められています。燃料コストは船舶運営において大きな割合を占め、効率的かつ省エネな推進技術が必要不可欠です。この背景として、エバーブルーテクノロジーズは長年にわたり、持続可能なドローンの開発に取り組んできました。
ナブテスコが開発した風車帆の構造は、円筒帆と垂直軸の風車を融合しており、風を利用して発電し、同時に推進力を生み出します。この技術の応用は小型ドローンから大型船舶への展開が期待されており、両社は最初の実証モデルとしてこの船型ドローンの共同開発を行いました。
今後の展望
今後の予定としては、実海域での試験によって風車帆の性能を最適化します。また、この技術はエネルギー自立型の海洋ロボティクスに適しており、自然エネルギーを使用した長期間の活動や、災害監視、環境モニタリングなどの応用が期待されています。
さらにこのプロジェクトは、NEDOの「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発」プログラムのもとで進められており、燃料削減効果が見込まれています。エバーブルーテクノロジーズとナブテスコは、今後もゼロエミッション社会の実現を目指し、風力推進を活用した海上モビリティの開発を進める予定です。
展示会情報
この新型ドローンは、2025年6月4日から6日まで幕張メッセで開催される「ジャパンドローン2025」で参考出品される予定です。系列ブース内での実演も予定されており、多くの来場者にその革新性をアピールします。
エバーブルーテクノロジーズは、今後も水上ドローンや除雪ドローン等、多岐にわたるプロジェクトを通して、社会課題の解決を目指していきます。今回の帆船型ドローンの技術革新も、その大きな一環となっています。