顔認証技術を活用した高齢者施設の入退館管理の新常識

高齢者施設における新たな入退館管理システムが誕生

高齢者施設の運営はいくつかの課題に直面していますが、特に人員不足やスタッフの業務負荷が常に大きな問題とされています。これらの問題を解決するため、株式会社長谷工コーポレーションと長谷工シニアウェルデザインが共同で新たなシステムを開発しました。このシステムは、顔認証技術とインカム連携を活用した入退館管理システムで、特に高齢者施設に特化した内容となっている点が特徴です。

新システムの概要

この新システムは、来館者が事前に登録された顔を使用し、入退館の際の手続きを簡略化するものです。これまでは、来館者が入館時に必要事項を記入し、さらに検温を行う必要がありましたが、この新システムによってこれらの手続きが省力化されます。すでに試験導入した施設では、月に600人以上の来館者をこのシステムで対応し、月15時間以上の業務の効率化が図られたとのことです。

スタッフの負担軽減

このシステムの大きな利点は、スタッフが入居者により多くの時間を割けるようになることです。試験導入の結果、スタッフからは「入居者の方にしっかりと対応できる時間が増えた」との高評価が寄せられています。さらに、来館した際には管理事務所のモニターに来館者の情報が表示され、スタッフが装着するインカムにも情報が自動的に送信されるため、特に経験が浅いスタッフでも正確な情報を受け取ることができる仕組みになっています。

高齢者福祉の向上につながる可能性

高齢者施設での新しい技術の導入は、運営の効率化だけでなく、施設利用者へのサービス向上にも寄与します。長谷工グループはICT機器を活用した業務の効率化を進めており、これにより高齢者施設でのサービスをさらに充実させることを目指しています。

例えば、来訪者がスムーズに入館できることで、訪問の際のストレスが軽減され、結果として高齢者の生活の質向上に繋がることが期待されます。また、スタッフの負担が軽減されることで、より質の高いケアが提供できるようになるでしょう。

今後の導入予定

このシステムは、長谷工シニアウェルデザインが運営する「ブランシエール」シリーズの全38施設に2026年3月までに導入される予定です。国内では初となるこの取り組みが、どのように高齢者施設の運営に影響を与えるのか、今後の展開が注目されます。

高齢者施設における入退館管理に顔認証を取り入れることは、技術革新を通じて高齢者福祉を一歩前進させる大きな一歩です。さらなる効率化とサービス向上が期待される中、業界全体がこの流れにどう適応していくのか、引き続き見守っていきたいと思います。