医師の定年を考える
医師の定年は65歳が主流となっているが、多くの医師が65歳を超えても働き続けたいと考えている。その一方で、定年に向けて様々な不安を抱えていることが明らかになった。ここでは、株式会社メディウェルが実施した医師1,871名を対象とする調査結果を元に、医師の定年とセカンドキャリアについて詳しく考察する。
定年制度の実態
調査によると、医師の半数以上が勤務先に定年制度があることを示している。特に大学病院では、その割合が82.7%に達している。このことは、多くの医師が定年という制度に直面していることを意味している。一方で、クリニック勤務の医師には定年制度が少ない傾向が見られる。
定年年齢の現状
医師の定年年齢について、最も多い回答が「65歳」であり、全体の65.2%がこの年齢を挙げた。これに対し、社会一般企業では「60歳」が64.4%を占めている。医師たちの職業観は、平均的な企業の定年よりも高い年齢設定がなされていることが伺える。
セカンドキャリアへの意欲
約8割の医師が「65歳以上でも働き続けたい」と答え、特に「可能な限り働き続けたい」と答えた医師が25.1%にのぼった。年齢が上がるにつれ、キャリアを続ける意欲が高まる傾向も見られた。しかし、医師としてのキャリアを持続することへの不安も同様に多く、体力や健康と新たな職場の探し方に対する懸念が多くの声に反映されている。
定年後の理想と不安
医師たちが定年後に理想とする働き方は、業務負荷を軽減しつつ、やりがいを求めるものであった。具体的には、62.9%が「業務負荷が軽くなること」、51.6%が「仕事にやりがいがあること」を挙げている。一方、不安要素として最も多かったのは「自身の体力・健康」で、これに70.2%が共感している。
自由回答から浮かぶ視点
自由回答の中では、医師の定年に対する様々な意見が寄せられた。一部の医師は、年齢にかかわらず、生涯現役でいることの重要性を訴える一方で、古い知識で診療を続けることの危険性を指摘する声もあった。特に高年齢の医師が新しい医学知識に追いつけない場合には、定年制度の必要性があるという意見もある。
業界の未来に向けて
医療業界全体では、高齢化が進む中で、定年後の医師の活躍が求められる場面が多くなってきている。このような状況では、医師たちが持つ能力や経験を無駄にしないためにも、セカンドキャリアの形成を積極的にサポートする仕組みが必要だと言える。また、医療過疎地域では、セミリタイアする医師の応募が必要となるケースも多いため、地域ごとの実情に応じた柔軟な対応が求められている。
医師が安心してセカンドキャリアを歩むためには、制度や職場環境がどうあるべきか今後の課題として注目される。医療パートナーとしての医師の能力を活かしつつ、安心して働ける体制を整えることが、今後の医療制度において重要となるだろう。