オフィス市場の成長
2025-10-08 11:51:23

アジア太平洋地域のオフィス市場の新たな戦略的成長とは

アジア太平洋地域のオフィス市場、新たな成熟期へ



アジア太平洋地域のオフィス市場は、戦略的な成熟の新たな段階に突入しています。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが発表したレポートによれば、過去10年間のオフィスストックは39都市で約2倍の23億3,000万平方フィートに達し、特にインド、東南アジア、中国の成長が顕著です。この成長は、単なる物理的なスペースの拡大ではなく、企業が求めるワークスペースの質の変化を反映したものです。

新たな需要の背景



多くの企業にとって、オフィスはもはや単なる作業スペースではなく、自社のブランドや文化を表現するプラットフォームになっています。インドの成長や、東南アジアでの産業構造の変化、中国のイノベーション主体の成長により、企業は人材育成やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを重視し、長期的な戦略を見据えたオフィスの選定が進んでいます。

過去10年で空室率は13%から18%以上に上昇しましたが、この傾向は市場の進化を示しています。特に、オーナー側がより持続可能でスマートなビルを提供することで、テナントの選択基準が厳しくなり、競争が激化しています。

中国におけるイノベーション


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中国のグレードAオフィスの需要は、テクノロジー、専門サービス、金融分野からの持続的な成長に支えられ、今後も市場は拡大が見込まれています。特にAIやバイオ製造といった新興産業がオフィス環境に新たな需要を生み出しています。上海や深センでは、新たに3,800万平方フィートのオフィスが供給される予定であり、これに伴いオーナーはESGや技術的要件に合致するように資産を再配置しています。

インドの市場の特長



インドのオフィス市場は世界でも最も成長している市場の一つであり、2023年から2024年にかけて主要都市において4,000万平方フィートの純吸収が記録される見込みです。インドには世界のグローバル・キャパビリティ・センターの約50%が存在し、賃貸活動はインド全体の30%を占めています。その成長の背景には製造業の隆盛やアクティブなスタートアップエコシステムの育成があります。

東南アジアの動向



東南アジアでは、オフィス市場が着実な成長を遂げており、稼働中のグレードA物件は2億3500万平方フィートを超えました。特にマニラやバンコク、ホーチミン市などの都市でのトップクラス開発物件は、過去最高の賃料を更新する等、高品質なオフィスへの需要が顕著です。特に銀行や金融企業がこの地域で重要な役割を果たしており、テクノロジーや医療関連企業も積極的に拡張を続けています。

市場の将来展望



アジア太平洋地域のオフィス市場は、継続的な成長とともに成熟期を迎えています。テナントは選択肢を絞り、オーナーは革新的なアプローチを求めています。市場の変化は、ブランドや企業文化、パフォーマンスを支える基盤としての不動産の重要性を再確認させています。

「少なくとも今後数年は、オフィスが果たす役割が変わるでしょう。質への移行が今後の競争を決定づける鍵となるでしょう」- ドミニク・ブラウン博士(クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド 国際リサーチ部門責任者)。

アジア太平洋地域のオフィス市場は、まさに新たな歴史の幕を開けようとしています。市場での具体的な動向や展望は、今後も注目が集まるでしょう。

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