歌の背後にある物語
今年、石川さゆりさんが力を込めて発表した新曲『棉の花』は、その歌詞がもず唱平さんの手によって紡がれています。この曲は、河内木綿という歴史ある織物をテーマにしたもので、作詞家のもず唱平さんがどのような思いを込めたのか、これから詳しくお伝えします。
河内木綿の歴史
河内木綿は、大阪・河内地方で長い間親しまれてきた伝統的な生地です。明治時代には盛んに生産されていましたが、外国産の安価な綿が流入し、その生産量は急激に減少しました。この曲『棉の花』は、そんな河内木綿を支えた女性たちの物語をベースに創作されたものです。彼女たちは日々の生活を守るため、力を尽くしてきました。
もず唱平と石川さゆりの絆
作詞家のもず唱平さんは、これまでに数多くのヒット曲を生み出してきた名作詞家です。しかし、昨年体調を崩し、引退を宣言したとき、石川さゆりさんからの熱烈な依頼を受けて、最後の作品として歌詞を書き上げました。「棉の花」という曲に込めた願いは、彼の深い思索と、石川さゆりさんの歌声とが出会った結果、見事な形で表現されています。
彼は、自身のルーツである河内で暮らしながら、地域の女性たちとのつながりを大切にし、河内木綿の種まきの現場を訪れ、その心情を歌詞に刻みました。もず唱平さんは、歌を通じて地域の人々の生活や歴史に寄り添いたいと願っています。
平和を求める願い
今年の5月、もずさんは大阪で開催された関西万博を訪れました。彼は「平和」を唱え続けてきた活動家でもあります。万博では、ウクライナやパレスチナ、イスラエルなど、現在も紛争が続く地域に思いを馳せ、その人々との対話を通じて何ができるのかを考えているようです。
実は、もずさんの平和への願いは自身の過去から来ていると言います。1945年8月の原爆投下により、父親が被爆し、戦後の厳しい日々を体験しました。彼は、その痛みを抱えながらも、平和運動に取り組んできました。もず唱平さんがこの曲を書くことで伝えたい「未来」や「平和」の意味は、多くの人に共感を呼んでいます。
新曲披露コンサートでの再会
河内で行われた石川さゆりさんの新曲披露コンサートでは、二人が再会し、かけがえのない時間を共有しました。石川さんはもずさんの歌詞を「ラブレター」と表現し、「声をのせて歌うことがラブレターへの返事」と語りました。この二人の出会いから生まれた『棉の花』には、深い絆と願いが込められています。
新曲『棉の花』は、ただの歌ではなく、作詞家と歌手の思いが一体となった作品です。聴く人たちに強いメッセージが届けられることでしょう。ぜひ、テレビ大阪で放送されるドキュメンタリー「ドキュメンタリー7」で、その全貌を見てみてください。