偽情報対策技術の新たな挑戦
偽・誤情報が社会に及ぼす影響は深刻であり、それに対抗する技術革新が急務となっています。NABLAS株式会社とNTT東日本は、総務省の支援を受けて、偽情報と詐欺に対抗するための技術開発に取り組むことを発表しました。この新しいプロジェクトでは、主に2つの側面からアプローチを行います。
1. 電話音声フェイク検知技術の開発
生成AI技術の進展により、電話での「なりすまし」が現実の脅威となっています。このプロジェクトでは、最新の音声合成技術に対応した高精度な電話音声フェイク検知技術を開発します。また、音声の品質や形式が変化する環境でも安定した性能を提供することを目指します。
この技術を実際の電話アプリに組み込み、生成AIによる音声がフェイクとして認識されるかを確かめる実証実験を実施する予定です。様々な発着パターンや音声形式において、フェイク音声がリアルタイムで検知されるかが評価されます。この取組みが成功すれば、安全な電話コミュニケーションの確立に大きく寄与することでしょう。
2. 自治体向けの偽・誤情報対策システム
近年、SNSや動画プラットフォームを通じて偽情報が拡散され、特に政治や社会問題に関しては影響が甚大です。このため、自治体向けに偽・誤情報対策のシステムを開発することが重要です。信頼できる情報の発信元を確認するためのDID(分散型識別子)技術や、偽画像・映像を検知する技術が開発される予定です。
さらに、情報が拡散された際の改ざんチェックには、電子透かし技術が活用されます。これは画像や映像に見えない情報を埋め込むことで、出所を確認する際に非常に有効です。また、ファクトチェックを行うAIエージェントも開発し、真実性の評価を自動で行う仕組みも導入します。これらの技術が実現すれば、住民の不安を軽減し、正確な情報伝達が可能となります。
コンソーシアムの役割と今後の展望
NABLASはプロジェクトの全体管理を担い、音声フェイク検知技術や自治体向けのシステム開発を進めます。一方で、NTT東日本はシステム評価や技術開発に関しての専門性を提供します。両社が密接に連携し、実証実験を通じて得られるデータを基に、技術に対する理解を深めていくことが目指されています。
未来に向けては、生成AIのさらなる高度化が予想され、その影響で詐欺や偽情報もより巧妙化する可能性があります。このため、プロジェクトで得られた成果を基に、自治体や企業への技術実装を加速させ、安全で信頼できる情報社会を築く取り組みを続けます。
NABLASについて
NABLASは東京大学から生まれたベンチャー企業で、AI技術に特化したサービスを展開しています。AI人材育成やコンサルティング業務を行い、技術の研究開発を通じて未来を切り開くことを目指しています。これからも、多様な分野でAI技術の社会実装を進めていくことで、安心・安全な未来の実現に貢献するでしょう。