鬼海弘雄写真展「PERSONA―坂東玉三郎」
2026年の初春、東京のフジフイルム スクエア写真歴史博物館で、特別な写真展が開催されます。鬼海弘雄による「PERSONA―坂東玉三郎」と題された本展では、歌舞伎界の巨星、五代目坂東玉三郎を捉えた未発表の貴重な作品群が初めて公開されます。開催期間は2026年1月5日から3月31日まで、入館は無料です。
鬼海弘雄と坂東玉三郎の出会い
鬼海弘雄は1973年から長年にわたり、浅草・浅草寺の境内で多くの人々のポートレイトを撮影してきました。その数々の作品は、彼の代表作「PERSONA」として知られており、こうしたコミュニティーの肖像を映す一方で、彼自身が影響を受けた様々な文化や歴史的背景を反映しています。1976年に撮影された坂東玉三郎の作品も、その一環として生まれました。
玉三郎は当時26歳。すでに歌舞伎界で絶大な名声を誇り、多様な舞台に挑んでいる真っ最中でした。鬼海は彼の兄から依頼を受け、玉三郎の公演に同行し、数々の舞台での姿を独特の視点で捉えました。鬼海が撮影した25点の作品群は、長年封印されていましたが、2020年の鬼海の晩年に再評価され、ついに作品が日の目を見ることになりました。
展示の内容と特徴
本展では、鬼海の数々のヴィンテージプリントと、残されたネガフィルムから厳選したモダンプリントが展示されます。特に目を引くのが、鬼海が普段使用しない望遠レンズを使った作品や、中判カメラで撮影された貴重な舞台写真です。これにより、観客は舞台上の玉三郎の姿を新たな視点で鑑賞し、その演技の魅力を深く理解することができます。また、鬼海には恩師である哲学者福田定良から贈られた愛用のカメラも特別展示され、彼の創作の原点とも言える貴重な展示となっています。
本展の意義
本展は、鬼海弘雄がたどってきた道筋と彼が注いだ情熱を再発見できる重要な機会です。坂東玉三郎の数々の名演技―特に「マクベス夫人」と三島由紀夫の『近代能楽集』での若き日の演技―を通して、鬼海の視点を通じた玉三郎の姿を鮮明に知ることができるでしょう。35mm一眼レフカメラのビジュアルを通じて、観客は彼の成し遂げた偉業と、演技の背後にあるストーリーを深く味わい、感動することでしょう。
開催概要
- - 展覧会名: 鬼海弘雄写真展「PERSONA―坂東玉三郎」
- - 開催期間: 2026年1月5日(月)- 3月31日(火)
- - 会場: フジフイルム スクエア写真歴史博物館
- - 入館料: 無料
- - 開館時間: 10:00~19:00(最終日は16:00まで)。入館は終了の10分前まで可能。
本展は、重厚な舞台芸術の背後にある人物とその価値を再発見する、稀有な体験を提供します。今後の開催情報については、フジフイルム スクエアの公式ウェブサイトをご確認ください。