APAC投資家の挑戦
2025-07-03 16:17:17

アジア太平洋投資家が変更するポートフォリオ戦略の新たな流れ

アジア太平洋投資家が変更するポートフォリオ戦略の新たな流れ



2023年6月19日、東京で開催された「MSCI APAC機関投資家フォーラム」では、アジア太平洋地域の機関投資家が、トータル・ポートフォリオ・アプローチ(TPA)を導入し、アプローチの重要性が語られました。フォーラムの開会挨拶で、MSCIのAPACリサーチ&開発責任者オレグ・ルバン氏は、従来の資産クラス分けによる運用モデルの限界を指摘し、投資環境の変化に対応した新たな戦略を模索していることを示しました。

TPAの重要性



日本や他のAPAC諸国のアセット・オーナーは、ポートフォリオ全体を視野に入れたリスクとリターンの管理がますます重要であると共有しました。投資環境の変化に伴い、TPAはレジリエンスと機会の両立を図る手段として注目され、特にプライベート・キャピタルへの関心が高まっていることが強調されました。

フォーラムでは、投資家たちがそれぞれのアプローチを共有し、TPAが新たな投資課題への対応にどのように役立つか見解を述べました。ルバン氏は、「資産クラスごとに運用しようとすると、それらの間にある関連性に気づけない可能性がある」と説明し、全体最適を意識することが重要であると指摘しました。

組織文化の変革が鍵



東京のフォーラムで明らかになった点は、TPAへの移行には組織文化の変革が最も大きな課題であるということです。部門間の協力意識を醸成し、共通の目的を持つことが必要とされ、参加者はその重要性を強調しました。ある年金基金運用者は、文化の基盤にある目的意識や信頼、仲間意識を大切にしていると述べ、非公式なコミュニケーションを活用した一体感の形成に努めています。

プライベート資産の役割



また、プライベート資産への配分が増加し、利回りの確保とリスク分散が求められる中、資産配分の見直しが進められています。現在、MSCIは2030年までに投資可能な資金の約6分の1がプライベート市場に投じられると予測しています。プライベート市場の成長は、テクノロジーの進化と気候変動による資金需要を刺激しており、投資家はその変化を受け入れる必要があるとされています。

地域ごとの視点



日本に特化したアプローチも重要で、日本の投資家はプライベート市場への資産配分の拡大や、セカンダリー市場への関心を高めています。MSCIの調査によれば、APAC地域ではグリーンモビリティへの投資が加速しており、アジアが新たなソリューションを生む場所であるとギーゼ氏は強調しました。これは、地域ごとの課題に対し、具体的かつ戦略的に取り組む姿勢を反映しています。

AIと将来の勢力図



フォーラムではAIによる投資機会の提起もあり、投資家はAIを単なる手段ではなく、意思決定を向上させる道具として捉えています。今後5年間の業務効率向上が期待され、リスク予測やポートフォリオ構築の進展が新たな注目点となっています。古典的なリスク管理とともに、適応力が今後の投資において重要な要素であることが確認されました。

気候変動への対応や脱炭素化への意識も強まり、APAC地域の投資家はその動向に即し、長期的な視点で投資を進めていることが浮き彫りとなりました。今後の投資業界において、機関投資家への期待が高まる中、TPAやプライベート市場の重要性がますます増していくことでしょう。

関連リンク

サードペディア百科事典: MSCI TPA アセットオーナー

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。