アイルランド政府産業開発庁の訪日と日本企業との連携
アイルランド政府産業開発庁(IDAアイルランド)は、クライアント・トランスフォーメーション部門責任者であるマット・ケネディ博士の来日を機に、日本企業および主要ステークホルダーとの重要な会談を実施しました。この訪問の目的は、日本とのパートナーシップを強化し、特に研究開発(R&D)、デジタル化、サステナビリティ、人材育成などの分野で意見交換を行うことでした。
アイルランドは、世界で最もオープンかつグローバル化された経済の一つで、約4億5,000万人の単一市場へのアクセスを提供しています。IDAアイルランドは80年以上にわたり、世界の主要企業の投資や事業成長を支援しており、1972年からは東京事務所を通じて日本の革新的な企業との長期的な関係を築いてきました。今回の訪問は、IDAアイルランドの「5カ年戦略(2025-2029)」と日本企業のグローバル成長戦略をつなぐ重要な機会となりました。
訪問中、欧州市場への関心が高まる中で、半導体、AI(人工知能)、自動化、ライフサイエンス、サステナビリティに関する幅広い意見が交わされました。特に、EUが推進する「欧州半導体法(EU Chips Act)」と「欧州グリーンディール」は、先端技術や持続可能な産業への投資を加速し、アイルランドが欧州市場への戦略的ゲートウェイとしての役割を強化しています。
日本企業との議論では、脱炭素化(デカーボナイゼーション)が最優先事項とされ、再生可能エネルギーの拡大や持続可能なエネルギーの安定供給に関する投資が強調されました。さらに、循環型経済、気候変動への適応、水資源管理、廃棄物削減といった課題も企業の競争力を高める重要な要素として位置付けられました。
IDAアイルランドは、持続可能な経済活動の分類である「EUタクソノミー」に準拠した支援を通じて、企業の成長とサステナビリティ目標の両立をサポートしています。具体的には、研究開発能力の強化や「センター・オブ・エクセレンス」の設立、サプライチェーンのレジリエンス向上を推進することで、持続可能な事業基盤を構築しています。
さらに、アイルランドの取り組みは、企業の変革と長期的成長を実現するための包括的な枠組みとして設計されています。高度な省エネルギー技術や先進的な生産設備の導入を支援し、デジタル化や自動化を利用してオペレーションの効率化を図ることが、企業の環境負荷軽減と生産性向上を同時に実現する手段とされています。
ケネディ博士はこの訪問について、「日本企業は欧州市場におけるイノベーションと持続可能な成長の重要なパートナーであり、私たちは日本企業との緊密な連携を通じて、研究開発や人材育成、サステナビリティの分野で企業の変革を支援している。今回の訪問を通じて新たな投資機会を創出し、協力関係をさらに深化させたい」と述べています。
現在、多くの日本企業がアイルランドでライフサイエンスやテクノロジー関連の事業を展開しており、研究開発とサステナビリティへの積極的な投資が行われています。例えば、アステラス製薬は2025年にアイルランド国内の製造拠点において、サステナビリティや人材育成に約1億2,900万ユーロを投じる計画を公表しています。これらの取り組みは、アイルランドが持続可能で革新的なビジネス拠点として日本企業にとって重要な戦略拠点であることを示しています。
IDAアイルランドとは
IDAアイルランドは、アイルランドの産業発展や海外からの直接投資を促進する目的で設立された政府機関です。日本事務所は過去50年間、日本企業に対し、欧州進出のための立地や人材、税制、優遇措置に関する情報提供や、現地視察と進出計画の支援を行っています。